年別アーカイブ 2011年

無造作淑女

ドキドキっ! 初めて取材される側に! 

先日、初めて取材される側を経験いたしました。

海鹿島海斗さんが放送しているネットラジオが来月15周年を迎えるのです。この輝かしい番組に、なんとなんと私がお呼ばれいたしました。キャーッ!(←ちょっと興奮している)

来月8日に放送される特別番組には、活躍されている様々なクリエーターの方がゲストで参加します。これまた楽しみですね。というのも、海鹿島さんが世の中に落ちている「おっ!」っという事柄に目をつけるのが上手なんです。ネタ元も実に豊富であり、音楽ネタや時事ネタはもちろん社会問題から風俗までを取り上げ、独特の喋りでわれわれを十分に楽しませてくれます。

え? あたしが何を喋ったか気になるですって? 
私はドリフターズを観て育った世代です。あのTV番組は私の人格形成に大いに役立ち、今日に至っていますが、決して子どもが喜ぶような単語の羅列、例えば、う○こ、ち○○ん等の言葉は口にしておりません。うちの親に海鹿島さんから頂いた有難いお話しを打ち明けた時、「調子に乗って(上記に示してあるような)“危険な単語“を口にしないように」と釘を刺されました。まったく子どもじゃあるまいし、そんな恥ずかしい単語を喋るわけないだろう、と思いますが、緊張しすぎると、突拍子もないことをやらかす癖があるのを心配したのでしょう。

製造現場ドットコムを背負ってるんですもの、きちんと産業ネタを喋りましたよ。ほんとよ、ほんと。現在、有識者の中には、「日本の製造業は終わった」とか、「すり合わせの技術はもう古い」との認識を示してる方もいらっしゃいますが、私はこの意見に否定的です。世界経済の先行き不透明感はぬぐえませんが、考え方を変えればまだまだ勝機はあると睨んでいます。

ところで、喋りのプロである海鹿島さんのリードのお陰で、喋ってるうち、どんどん楽しくなってきちゃった。つまり、どんどん興奮しちゃったってこと。

と、いうことは―――――――。
いつの間にかオスマシしていた私もついつい本性が・・・。

というわけで、詳しいことはまた後日ご報告いたします。

ちゃんとお話できたかちょっと心配だわ

電動「エチケットカッター」鼻毛切りの実力と工法

以前、大垣精工の上田社長から身だしなみに使う電動「エチケットカッター」を頂いた。
この重要なカッター部は大垣精工が製造しているもので、鼻や眉、耳の穴などのフェイスグルーミングがこれ1台で賄える優れモノである。カッター部位はディアルエッジ刃搭載! 
コレね↓↓↓


おっと、鼻毛が男性だけ伸びるものと思ったら大間違いよ。
鼻毛は女性だって伸びる。普段はオスマシ顔の私だって伸びる。どこぞの受付にいるキレイなお姉さんの鼻の穴から数本元気よく飛び出ていたのだって目撃したこともある。

このように鼻毛は男女問わず鼻の穴に密着しながらも、鼻の穴から出ているという理由だけで、威厳が消滅するという不思議な魔力を秘めている。たった1本の鼻毛でも、その存在感は大きく、ついうっかり「鼻毛の処理をし忘れてしまった」だけで、その日一日、自信が持てず、ついつい消極的になってしまうことだってあり得るのだ。

つまり、鼻毛処理はわれわれのモチベーションを左右するほど重要な役割を秘めているといえるだろう。

そんな鼻毛を処理するありがたい大垣精工のカッター部が活躍するパナソニックの「エチケットカッター」を使用してみた。

恐る恐る鼻の穴にエチケットカッターを入れてみる。初めての経験なのでちょっとドキドキした。
(痛かったらどうしよう・・・・・)
覚悟を決めていちにぃのさん! でスイッチをオンする私。

この部位を恐る恐る鼻の中に入れてみる


(あれっ?)
まったく痛くない。本当に切れているのだろうか?
鼻の穴に差し込んでいるエチケットカッターをゆっくり時計回りに回転させてみると、ジジ・・・ジ・・ジジ・・ジ・・・と、セミが地面にポトリと落ちたあと命が尽きる寸前に出す羽そっくりな音が鼻の穴から聞こえた。私はエチケットカッターが確実に鼻毛を捉えていると確信した。

「な、なんて優しい鼻毛切りなんだ!」
デリケートな鼻の穴を優しく、しかもあっという間に処理するなんて、さすが大垣精工の技術ね。
というわけで、この技術のどこが凄いのか「製造現場ドットコム」ファンの皆さまに、ちょっとだけ説明をしましょう。

下記の写真は男性の身だしなみに重宝されている電気鼻毛カッターの重要なカッター部。

材料:SUS304L 板厚:t0.6


すごいのは工法です。
この製品の従来工法は、焼結+溝研磨+外形矯正(単発)+パレル研磨と4工程でした。それを、プレス成形(順送金型)+パレル研磨のみの新工法で60%の大幅コストダウンを実現したんです。60%とは素晴らしいですね。従来の加工を進化させ、工程短縮に結びつけた開発力がこの部位に詰まっているのです。

このように、われわれの生活を豊にする製品の中に、キラリ☆と光る各社の技術があります。目立たないけれど、注目しなければならないと思っています。

なんと! 「787」の2機揃い踏み!

思わずためいきが出ちゃうほど素敵な写真でしょ。でしょ、でしょ! 
なんと、「787」の2機揃い踏み! 撮影したのは下村栄司氏。
飛行機好きにはたまらないですなあ。

写真は9月28日に羽田に到着した機体番号JA801A(奥)と今月16日に到着したばかりのJA802A(手前)で、1,2号機限定の特別塗装色だそうです。

26日に成田-香港間で初フライト、28日と29日に遊覧飛行を、30日には被災地の子供たちを招待しての遊覧飛行を行うとのこと。

この写真があまりにも素敵だったので、ちょいとTwitterやFBで一足早くアップしたのですが、写真を拝見した方々から、「いいな~。乗りたいな~」の声が多数あがりました。

11月1日からはいよいよ羽田-広島と羽田-岡山線にデビューするらしいですよ。

ああん、私も乗りたいです。はい。

三井精機のPVがメチャクチャかっこいいゾ!

工業製品をPRするためのPVをよく拝見しますが、中でも実に良くできているな、と感心メーカーがあります。

それは―――――――。

ジャーン! 三井精機さんです↓↓↓

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この小さな
モンスターマシンが
切り拓くのは
モノづくりの
新たな可能性と
大いなる希望だ
Small Machine, Big Dream
Vertex550-5X ―――――――。

どうです! このキャッチコピー! そして異様に盛り上げるBGM! 
なお、岩倉社長が専務になっていますが、このPVは2006年に製作されたものということで、ご愛敬よろしく。

ちなみに3:15分あたりにお遍路さんが、いい具合に登場しますが、この方が企画から製作まで携わった同社のS氏です。

もうひとつご紹介するのは、私が最も絶賛するPVです。これは2003年のものですが、「The U. S. International Film And Video Festival」において銀賞を受賞しています。この年、金賞は該当作なしで、この作品とメルセデス・ベンツが銀賞を受賞しました。

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前出のS氏は製作費について、「おそらくベンツの1/100くらいの予算でできたでしょうね」と話していました。三井精機さんのマシンは剛性が優れており、よりハイクオリティな加工を求める世界中の顧客から評価も高いのですが、このPVは「品位」を見事に表現されているとため息すら出てしまいます。
2003年のものなのに、古さをまったく感じさせない優れた作品のひとつですね。

ご質問にお答えします

田中智様からご質問がきましたので、お答えいたします。
質問内容は、以下のとおりです。(原文ママ)

「恐らく同じような内容の問い合わせが複数あると思いますが、正直なところをお伺いしたくメールしたします。

ほこたての記事読みました。
もちろんテレビも見ました。結果引き分けとのことですが、あれはどう見ても日本タングステンの勝ちです。

理由は穴が開く以前に完全に超砥粒が剥離してしまってるからです。
ワークが割れたのは完全に剥離して研削できない状態なのに、マシニングのZ軸が降下し
ワークの芯をピンポイントで加圧していた為オーバーロードにて停止とほぼ同時にワークが割れた。

つまりワークが割れたのは、対決の決着がついた後のことです。
これは金属加工に関わる人ならば、テレビの映像を見ているだけでわかるはずです。

そして大沢氏自身もこれに気づいていたから一旦は潔く負けを認めた。
そして更には現場で見ていたOSGの社員さんも、同じことを思っている人が数多くいると推測します。

なのに結果は引き分け???考えられません。
この記事には真相が書いてあるかと、多少は期待していたんですがやはりテレビと違うことは書けないですかね???。

私が思うに番組を盛り上げるためのテレビ的演出の片棒を活がされたのでは???
とも思ってしまいます。正直なところをお聞かせ願います」

***************************************

田中智 様へ

今回の結果については、テレビ放映のとおり、オーエスジーさんは穴を開けるのが目的なので、穴が開かなかったために負けを認めました。一方、日本タングステンさんも被削材が割れたので負けを認めました。

この引き分けの判定はヤラセでもなんでもありません。
その判定も私が決めることではありませんし、妥当だと思います。

テレビと違うことは書けないですかね・・・とありましたが、私は見たことを正直に書いておりますし、現場にいた状況も含め、事実だけをお知らせしただけです。貴殿のおっしゃるようなテレビ的演出の片棒を担がされたわけではありません。非常に心外です。

いい加減なことを平気で口にする輩は、世間で信用に値しない人物とされていますので、根拠のあることしか言えません。今回の件は、工具が剥離しても、しなくても被削材が割れていた可能性も十分に考えられます。

しつこいようですが、テレビ的演出の片棒は担いでおりませので、あしからず。
正直なところをお聞かせ願います・・・とありましたが――――。

「あたしゃペン乞食じゃねぇぞ!」
これが正直なところです。

「ほこ×たて」緊急解説

すでに切削加工業界に身を置く方々にとって、フジテレビの「ほこ×たて」の人気企画、“絶対に穴の開かない金属”VS“どんな金属にも穴を開けられるドリル”は有名ですが、とうとう日曜日のゴールデンタイムに放映されることになり、先ほど、日本タングステンに切削工具メーカーOSGが挑戦した様子がお茶の間に流れました。

皆さん、今までにない衝撃の結末に度肝を抜かれたと思います。冷静に考えれば、十分あり得る結果ですが、対決を見守っていたわれわれ業界専門記者軍団も驚きました。この対決、1㎜削るために要した時間はなんと4分以上! 1度目は13分を過ぎたころに材料が乾いた音を立てて割れました。今までにない展開にザワつく現場。再度、撮り直しをしたのですが、2度目も13分を過ぎたころにパシッという衝撃音が響きました。

結果は引き分けです――――。

そこで!
「材料を制するものは加工を制す」を口癖に、製造現場を追い求めて早十数年の私。放映が終わって「すごかったね~面白かったね~」だけじゃ済まされない・・・ということで、「製造現場ドットコム」ファンの皆さまに大サービスよ。解説をいたしましょう。

日本タングステン(通称:ニッタン)の中川内氏が今回持参した超難削材料はサーメットでした。よって超硬合金とは一味違います。超硬合金の材料はタングステン等の金属の炭化物で出来ていますが、サーメットは簡単にいうと、この超硬合金にセラミックを加えた複合材料です。

コレね↓

OSGは切削工具メーカーですので、材料の研究にも余念がありません。おそらくニッタンの得意とするブツを想像しながら工具の開発を進めてきたはずです。
「思ったよりも軽い」
これが対戦相手であるOSG執行役員デザインセンター長の大沢二朗氏の言葉でした。

さて、数々の挑戦相手を叩きのめし、加工不能とまで言わしめた超難削材に挑んだ、OSGの対決用工具が気になりますね。この工具の名称は、テレビでも流れましたが、『クロスエンドドリル』(特殊品)。工具径はφ20 #40(粒度)のもので、工具先端にダイヤモンドの粒子を電着させた特殊工具です。そもそも過去3回の戦いを拝見する限り、被削材は超硬合金と考えられていました。超硬合金の弱点はサーメット同様、割れやすい点が挙げられます。超硬合金もサーメットも超が付くくらい硬いのは変わりませんが、サーメットは耐熱性と耐摩耗性に優れています。

今まで放映された対戦相手(タンガロイ、アライドマテリアル、古河ロックドリル)も数分で機械が止まりました。これはモノが悪いというわけでなく、ぶっつけ本番、しかもこのような対決に前例があるはずもなく、材料に合った加工条件を満たすことができなかったわけですが、やはり硬い焼結材を加工するには世界一硬いと言われているダイヤモンドが有効のようです。ただしダイヤモンドは熱に弱いという弱点があります。加工中の高熱はダイヤモンドの硬さを失わせるうえ、およそ800℃あたりで炭化してしまいます。

中川内氏はおそらく従来通り、“高硬度難削材”で工具が摩擦熱で先にくたばるのを狙ったブツを開発し、持参したのだと思われます。

このあたりの弱点をどう補うかが最大の課題になるわけですが、今回、東京工科大学の福井教授と共同開発し、その技術の集結がこの工具に活かされました。

この戦った後の工具をご覧ください。
底面の十字スリットで切削油材を十分に供給できるような形状です。工具中心のオイルホールで、切りくず排出性を高めていますね。

形状はこんな感じです。きっちり数ミリ色が変わっていますね

工作機械で高速加工を行うとどうしても加工物の表面と工具表面に熱を持ちますから、せっかくコーティングされたダイヤモンドの利点が失われないよう、クーラントの利用を最大限活かす造りになっています。また、コーナー部をR形状にすることで切削時の負荷を分散しているのも見事ですね。この形状は硬い材料への穴開けに威力を発揮します。

また工具自体が螺旋を描くヘリカル加工をすることによって、切りくず排出性を良好にし、切削油材の供給を容易にしています。この加工法のメリットは、周速ゼロポイントでの加工を避けることにより、工具損傷を低減することです。

これからも対戦したOSGはダイヤモンドの弱点である熱対策を徹底的に行ったと言えるでしょう。

その結果、被削材は割れ、切削工具はこのような状態に・・・・・。互いの腹を探りながら開発したものは、互いに良いトコロを突いていたわけです。さすがですね。

割れちゃった・・・・・

ところで、私は常々申し上げていることがあります。
それは金属加工というのは工具、剛性の高いマシン、工具をしっかり保持するチャックがなければ、クオリティの高い加工はできないということです。どんなに良い切削工具があっても剛性のないマシンではビビリが発生し工具摩耗が激しくなりますし、工具を保持するチャックが甘いと、これまた振れて工具があっという間にお陀仏になってしまいます。

というわけで、この熱い戦いに挑んだ、陰の実力マシン及び周辺機器をご紹介いたしましょう。

工作機械はオークマの立形マシニングセンタ「MB-46VAE」。回転速度は50~15,000min₋¹(標準仕様)。このマシンを選んだ理由は、剛性はもちろんのこと、“内部給油が可能”だということでした。

オークマ「MB-46VAE」

しっかり工具を保持していたチャックは、高い品質で世界中から好評を博している大昭和精機のものです。

さすがは高品質がウリの大昭和精機さん↓

この見事な戦いですが、加工不能と言わしめた材料が中心から放物線上に割れてしまいました。材料にかかった力の逃げ場所がなくなり割れてしまったのですが、先述のとおり、サーメットの欠点は割れやすい、ということです。割れ方から推測すると、この穴開け対決に使用したマシンもチャックもビビらない、振れない、という優れモノだということが分かります。

次回は、何が出てくるか分からない不気味な超難削材の特性を想像しながらさらなる工具開発をして見事に穴をあける工具か、今まで以上にまったくビクともしないシロモノを持参するニッタンか、もう一度熱い対決を期待したいですね!

でもね、今度は柔らかくて粘っこい難削材を持って来たらどうしましょう!?
そのうち、硬いものも柔らかいものも、どんな材料でも加工ができる夢のような工具が開発されるかもしれませんね。

余談ですが、あのダイヤモンドコーティングが施された「クロスエンドドリル」で、働く女の勲章ともいえるガサガサの足の裏を擦ってみたい衝動にかられてしまいました。

不二越本社富山事業所へGO!

先日、不二越さんの本社富山事業所にお伺いしました。
詳しい内容は後日、ニュースに掲載いたしますね。

ところで、2004年にNASA/JPLの火星無人探査車(Mars Rover)が火星に着陸し、活動を開始しましたが、このRoverに搭載された波動歯車装置に不二越さんの超薄型軸受(ウェーブ軸受)が採用されていたってご存知でしたか?

ウェーブ軸受の仕組みは、軸受内輪が楕円軸に挿入され、外輪がたわみ回転運動をするというもの。

これね↓↓↓

もうひとつ不二越さんで世界トップシェアを誇るものといえば、「クリスマスツリー型ブローチ」ですね。発電機産業や航空機産業で使われるタービンディスクのような難削材の高精度加工に欠かすことのできないものです。

現在の産業に欠かすことのできない加工技術がココにある

ところで富山事業所内には、創業当時からの歴史が詰まった不二越本館があります。
創業したのは1925年(大正14年)ですが、建物が出来たのは1937年(昭和12年)に造られました。内装に樫の木や上質のチーク材を使用しています。創業当時は社員9人ほどでしたが、約10年後には2000人規模になりました。この本館は主に総務などの管理部門や役員の会議室などで使われていたそうです。

「あたくしの家へようこそ・・・」っていうのはジョーダンよ

戦時中、軍事工場だった不二越さんは真っ先に焼夷弾が落とされてもおかしくない状況でしたが、建物が奇跡的に残りました。終戦後の昭和21年にGHQと賠償指定交渉がこの本館2階で行われました。交渉はかなり難航したようですが、交渉がうまくいかなかったら、不二越さんは解体されていた可能性があったんですって。まさに激動の歴史ですね。

2005年にリニューアルしたこの本館に不二越の歴史が詰まっています。

不二越本社富山事業所から見る夕日がとてもキレイでした

「ほこ×たて」最強の金属に穴は開くか!!!!!

フジテレビの「ほこ×たて」の人気企画、“絶対に穴の開かない金属”VS“どんな金属にも穴を開けられるドリル”―――。穴が開けばドリルの勝利。穴が開けられなければ金属の勝利。製造現場に身を置いている皆様にとっては対決の行方が気になる番組で有名ですね。

今までも日本タングステン(通称:ニッタン)の超硬部品部主任・中川内浩二氏が持参する超硬合金に数々の企業が挑み、玉砕してきました。
初戦はタンガロイが挑戦したけど、穴は開かなかった。
2戦目はアライドマテリアルが挑戦したけどこれまた失敗した。
3戦目の古河ロックドリルは惨敗した。これは放送を観た途端、あんなにドリルが振れてるんだもの、超難削材に穴が開くハズないと瞬時に自信を持って言えたわよ。

正直言って通常、材料って切削工具、剛性の高いマシン、工具をしっかり保持するチャックなど、設備の総合力で加工するものなので、超難削材の中身も分からぬまま穴をあけるなんて考えられない、と思ったわ。

だけど、回を重ねるごとに超硬合金の中身がなんで出来ているかと予想をするのも楽しくなってきちゃった。毎度、放送終了後、議論になることから注目度も高いのが分かるわよね。

そこで! 
製造現場ドットコムファンの皆さまに一足先に教えてあ・げ・る。
10月16日(日)夜7時からフジテレビで放映される「ほこ×たて」で、第4戦目が放映されるわよ。FA業界専門媒体の猛者たちも集合してその行方を見守ったの。
もちろん、「切る」・「磨く」・「穴を開ける」・「削る」―――を追い求めて早十数年の私も大量の化粧品を持参して現場に駆け付けたわよ。

ところでさ、業界媒体のコメント撮りが行われたんだけど、これがね、「どっちが勝つか」と二者選択なわけ。材料の中身は今までの放映を観ている限り、なんとなく想像できるけど、戦い当日じゃないと金属やツールと対面できない仕組みになっているので、何が出て来るか分からない。双方、相手の腹を探りながら開発したブツで戦うわけだから、やみくも感満載、ぶっつけ本番、用意スタート! カーン!(←戦いのゴング音)って感じ。

こんな調子だもの、いくら業界専門記者といったって、どっちが勝つかなんて正直分からない。これには参ったわ。

でさ、この業界で生き字引化しているベテラン記者、商工経済新聞社の市原氏の意見がどうしても気になるわけ。市原氏ったら、「那須ちゃん、オレは本当のことを言うつもりだよ・・・」とボソッと耳打ちしたあと、そそくさとTVカメラに向かって行っちゃったもんだから、なんとも言えないプレッシャーがズシンと肩からブラ下げているカメラよりも重く感じたわよ。あぁ、どうしましょう!!

さては一人だけ抜け駆けをして真面目に解説するつもりね・・・。と焦る私。あんまりきちんと解説されると、後が困るじゃない!!! ひぃ~!!!
普段は機関銃のごとく言葉を吐き散らす私だけれど、真面目な場面に出くわすと、どうもうまく喋れない。それどころか、緊張すると変なことを思い出してニヤニヤしてしまう。案の定、毛を刈られたアルパカの写真と高須クリニックのCMを思い出してしまい、ニヤニヤしてしまった。緊張を避けようとする脳が、現実逃避をしてしまう悪い癖が出たのだ。

挑発的なポスター↓↓ 

やっぱりコメント撮りが終了したとたん、「どっちが勝つって言った?」と記者全員、他人の意見が気になってしょうがない。業界記者たるものここで予想が外れたら大恥だもの。

余談ですがFA業界の記者会見というと、いつも同じ顔ぶれが集まります。ところが今回、「機械と工具」の小山編集長がスケジュールの都合上、来られなかったのが残念でした。

放送終了後、解説をアップする予定です。引き続き楽しみにしていてくださいね。

不敵な笑みを浮かべる中川内氏

だけどさ、やっぱり女性ね。ひょっとしたら、チラリと映る可能性もあるかもしれないと思うと、気になっちゃって対決前日は大忙し。湯船に浸かって、しつこいくらいに顔面マッサージをしたわ。ついでに日頃の暴飲暴食を後悔しつつ、サウナで汗を絞り出したわよ。日頃からきちんと節制した生活を送っていれば、体重増加を避けられたはずなんだけど、1日で痩せようなんて、やっぱり往生際の悪い女ね、私って。

刺激的な製造現場

町工場は町工場であるから、町工場の経営陣には町工場な日常が潜んでいる。
そこには決して大手メーカーの製造ラインではあり得ないだろう、くだらなさと切なさがあるのだ。

金属加工現場につきものなのは切粉である――――。

「俺はムカついた奴には必ず飛ばしてやったね(←切粉の意味)。近づいてきたら、一気に送りをかける」(注意:良い大人は決してマネをしないでください)

零細の加工現場における人間模様は単純かつ複雑である。混沌とした空間で淡々と作業をこなす者に必要なのは協調性ではなく集中力だ。営業マンが腰を屈みながら周囲に笑顔を向ける性質があるように、町工場における作業者は寡黙になり口下手になる(←このような人ばかりではないが)。

某地方都市――――。
機械部品を製造する町工場で刺激的な日常が繰り広げられている。

「あちあちあち熱っつい!! 後ろから降って来やがった!!!」
作業者がフェイスミルを使用していたらしく、降ってきたのは切粉だ。
制服が焦げたと主張するA氏。

熱で穴が! 恐怖の切粉スプラッシュ!!

(ちきしょう・・・・エンドミルで手を切ればいいのに・・・・)←心の声。

切粉をぶっ飛ばしつつ加工をした者は、腹が立つと即、行動に出る人物らしいが、口下手のほとんどは己の感情を表現する方法が言葉ではなく態度である。A氏は「先ほども出入り業者が気に入らなかったらしく、アルミを叩いて大きな音を出していた」と嘆いた。

切粉攻撃で作業着に穴があき、少しイライラしていたA氏はポケットの中から小銭を探した。きっと缶コーヒーでも飲みたいと思ったに違いない。ところがモソモソと探ったポケットから出て来たのは小銭ではなく切粉だった。


(ちっ、ポケットからも切粉が出てきやがった。なんかムカつく)

床に飛び散った切粉をジャリジャリと踏むA氏。彼の悔しそうに唇を噛む顔が目に浮かんだ。

そんなA氏に切粉を飛ばすチャンスが訪れる。ミーリング加工をするチャンスが巡って来たのだ。A氏はその心境をこう表現した。
☆゚ *。(✝`∀´)ケケケ

喧嘩覚悟で相手の安全靴の裏に切粉が食い込むよう密かに願いながら、何食わぬ顔をして切粉を飛ばすA氏。
(やったっ! 飛んで逃げた!)

A氏と周囲の戦いはまだまだ続くようである―――――。

目で見てわかるマシニングセンタ作業

新刊のご案内です。
日刊工業さんから、「目で見てわかるマシニングセンタ作業」(平田宏一/たなかじゅん/TEAM職人魂)が今月28日から発売されます。

目で見てわかる・・・っていうタイトルのとおりのこの本、漫画家たなかじゅん氏のイラストがふんだんに盛り込まれ、機械工学がニガテな方もこの一冊でマシンの仕組みが理解できるよう非常に分かりやすい内容となっています。

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