年別アーカイブ 2022年

直目

4年ぶりのリアルJIMTOFを振り返る

 11月8日(火)から13日(日)までの6日間、東京ビッグサイトで4年ぶりに「第31回日本国際工作機械見本市 JIMTOF2022」が開催されました。今回のJIMTOFは60周年の節目を迎え、出展社数・小間数ともに過去最高を記録していますが、中国勢の不在もあり、6日間の総来場者数は114,158人で、前回(JIMTOF2018)の来場者数153,103人と比較して減少しています。

 筆者は会期中、日曜日以外、毎日重たいカメラを首から引っ下げ、取材をしています。4年前と比較して確かに会場内の人の流れは前回よりも余裕があることを肌身で感じていましたが、各社のブース内に入ると、大賑わい。パチンコ玉のように人にぶつかることがないようカメラを抱えてブース内を取材しなければなりませんでした。

 出展各社に「今回は中国勢が不在ですが、いかがですか?」と尋ねると、誰もが「来場者が少なくなると予想していましたが、お陰様で前回と変わらないほど忙しいです!」と立ちっぱなしと喋りっぱなしによる疲労感を滲ませながら応えてくれました。足も痛そうにモジモジしています。もちろん筆者も西館東館の往来でモジモジです。(←足痛ぇええ~~~と心の声)

 確かにブース内は人で溢れています。中国勢が不在なので来場者の減少は避けられないとの予想に反し、このダメージを各社のブース内ではまったく感じない、それどころか多忙を極めていました。

本気の設備投資欲を見た! 来場者のブース内にいる滞在時間が長かった

 この現象は前回のJIMTOFに比べ、来場者のブース内にいる滞在時間が長いことを示しています。ジ――――――ッと見ていると、来場者の皆様は、展示品について真剣に問い合わせをしていることが分かりました。しかも次から次へと質問が飛び出てくるではありませんか。確実に目的を持った方が数珠つなぎでやって来るのです。出展された皆様のほとんどが、「商談に結びつく手応えをしっかり感じた。」と感想を述べています。

 最近では新型コロナウイルス感染対策の規制が緩み日常生活の回復が見られますが、コロナ禍でリアルな活動が停滞していた分、製造現場で活躍している皆様の設備投資への欲望がところてんのように押し出されたようにも見えました。

 現在、国際紛争やこれに起因する資源高騰に加え、材料不足もあり、経済環境は若干不安定なものの、2022年版ものづくり白書によると研究開発投資については、「増加/やや増加」の割合が増しています。この投資の目的は「新製品・サービスの提供」が最も多いのですが、国際的にもカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが重要視され、製造業としても新たな技術開発が求められています。

 今回のJIMTOFでもCO2排出削に向けて工作機械、切削工具・周辺機器からのアプローチも多く見受けられました。高能率で加工できれば工程短縮が実現し、省エネ効果とともに経済効果も期待できる―――ということですね。

 もうひとつ、少子高齢化、労働人口の減少を解決するための自動化もトレンドです。デジタルツールを活用した次世代のものづくりで、製品価値の競争力を高めるための工夫も豊富に見ることができました。

 そして、なんといっても加工技術のトレンドといえば、EVと半導体、大物金型と微細加工に向けた加工ソリューションといったところでしょうか。特にEVでは持続可能な社会に向けて世界中の自動車メーカーがCO2排出制限に対応する新技術を欲しています。燃費の向上には小型化・軽量化が必至ですから、これに対応した加工技術が必要になってきます。

 後日、JIMTOF2022で取材をしたこれらのトレンドについて、「工作機械編」、「切削工具・周辺機器編」として製造現場ドットコムのピックアップにて掲載しますのでお楽しみに。

 秋は業界の行事も多く、JIMTOFも4年ぶりに開催され、ニュースがモリモリで溢れております。ブログではニュースに掲載できなかった小ネタなどをどんどんアップしていきますので、要チェックですゾ☆

 
 

明治18年の「小学校生徒用物理書」

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 明治18年に出版された「小学校生徒用物理書 巻之上 巻之中 巻之下」〈発行:(株)数理設計研究所〉を拝読しました。明治に発行された内容を数理設計研究所さんが一冊にまとめたものです。原本の良さを残しつつ編集されていることにも驚きましたが、さらに、びっくりしたことがありました。「当時の小学生はこんなに高度な勉強をしていたのか!」ということです。

 実験機器を示すものについても、当時は写真を使うことがあまりなかったのでしょう。繊細な図と、その説明から、まさに〝大人の読み物〟だと感じました。

 当時の教師はまだ幼い児童にこの書籍を用いていろいろと教え、実験をしていたのだな、と想像しました。ひょっとしたらマクロ的にみて、現代の成人より当時の小学生のほうが知的レベルは高かったのかもしれない・・・・と少々不安になったほどです。

 内容的には物理の基本ですから、とっくに成人している現代人のわたしにとっても、非常に参考になります。こうした書籍はなかなかお目にかかることはありませんので、これを発行してくれた数理設計研究所さんには感謝です。

 国内製造企業を経営する皆様の中には、持続可能な社会を考え、〝人材育成〟について本気で考えていらっしゃる方が多いのですが、若者に興味を持たせるための手法について大人が真剣に議論しているニュースはあまり聞くことがありません。楽しければいいや、的なその場しのぎの手法も興味を持つ良いきっかけになるかもしれませんが、一時の感情だけでは、継続することは難しいようにも感じています。

220808b2 一生勉強といいますが、まさにそのとおり。知識が貯金をするように貯まれば、厳しい世の中においても、よほどのことが無い限り、蓄積した知恵が助けてくれることでしょう。生きるためのアイテムは豊富なほうがいい。

 今回、数理設計研究所さんがまとめた一冊は、子どもでも読めます。なんとなく〝大人になった気分〟を味わいつつ、今の時代、知らない言葉は簡単に調べることができますので、こうした知的好奇心をくすぐる王道のような書籍の登場に、わたしはとっても嬉しくなりました☆ 

サービスの鈍化

 身内の話。先日、接種券が届いたので3回目のワクチン接種を申し込み、接種当日に会場にいくと、名前がない。名前の読みが違ったらしく、すったもんだしたらしい。どうやら、オペレータの入力ミスがあったとのこと。これを聞いたとき、接種券が届いているのに、なぜシステムで繋がっていないのか、と疑問に感じた。これこそシステム化をすれば、接種券に記載されている個人情報を、さらにオペレータが手入力をする二度手間の必要がなくなり、その分、ポカミスを防ぐこともできると思うんだけどね。いまだ、こんな状態なのだからIT化を推進するにも苦労すると思う。やれやれだ。

 以前、コラムにもデジタル化は手段であり目的じゃないことをつらつらと記載したけれど、システム化によって誰にどんな貢献ができるのか、が抜けていると、なんのためのシステム開発なのか目的を見失い、複雑さは増すばかり。トラブルが起きたときには責任の所在がどこにあるのかすら分からない。ユーザーがマルッと損をすることだってあり得るのだから、恐ろしい世の中になったものだと思う。

 デジタル化は顧客に対し、サービスの向上にも貢献するはずだが、近年、このサービスの観点が抜けているようにも思う。ビジネスの仕組みそのものを理解していない場合、画面ありきで物事を捉えてしまいがちになる。アナログ的だと、手入力も紙にボールペンで記載すると同じ感覚であればポカミスもするだろう。デジタルでポカミスを犯し、それをシステムが正しいと判断した場合は厄介だ。そこに昭和時代のアナログ的発想を引きずってると、システムを活用した二度手間、三度手間を犯していることすら気付かない。どこでなにを間違っているのかを考えることができず、是正することを知らない人が増えると、ユーザーが求めているニーズに応えることができずに、サービスはどんどん鈍化していくおそれがある。日本は本来、サービスも強みのひとつだったはずだ。

最近、大阪市がコロナウイルス感染者数について1万2700人ほどの報告漏れを起こしたとニュースになった。令和の時代になんと、医療機関から着信した〝FAX〟によるデータをもとに保健所が入力しているというではないの。これじゃあ日々増えていく膨大な感染者数のデータ処理に追いつくわけがないし、しかも人間のやることだから、ポカミスが起きても当然だ。なんとなく、消えた年金問題を思い出しちゃった。これも入力ミスが起こしたような・・・・。だとしたら、あらやだっ! なにも変わっちゃいないってこと? 

それよりこの非効率な作業について、誰も改善に着手しようとしなかったのか。もし、企業であれば信用をなくして売上がダウンしてしまうほどのダメージだと思うんだけどね。ここに時代が変わっているのに、変わろうとしない問題の要因が見えてくる。

 そういえば、「昔と違い、今はビジネスも変貌しているのに、いつまでも前例主義でよいのだろうか。」

 と仰った社長さんの言葉が頭に浮かんだ。

 この言葉を聞いて、思わず「これだ!」と感じた私。前例がないと一歩先行くことができない、この臆病な感覚こそ、今の時代に不要なものだと思っている。(←場合によるけどね)

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