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金型加工特集 「切削工具・周辺機器」編

 われわれの生活を豊かにする生活用品の数々――――。
 高付加価値商品の自動車やデジタル家電などを生み出すための基礎には品質の高い金型製作が必要不可欠である。金型の善し悪しが商品の品質を左右するのだから金型メーカーが大きな使命を背負っていっても過言ではない。ところが、現在、労働時間の制限や作業者の不足といった悩ましい現実に直面しつつ、仕事量が増えても短納期やコストダウンの要求が厳しい現状がある。これらの課題を解決しつつ、経済効果を上げるための〝金〟を生む〝型〟の製作において利益向上の鍵を握るのは、ものをつくるモト―――すなわち、「工作機械」、「切削工具・周辺機器」などの設備である。

 前回の工作機械編に引き続き、「切削工具・周辺機器」編を掲載する。
 (イスカルジャパン、イワタツール、オーエスジー、キタガワ鉄工所・キタガワグローバルハンドカンパニー、住友電気工業、タンガロイ、大昭和精機、ダイジェット工業、日進工具、不二越、ブルーム-ノボテスト、MOLDINO、ユキワ精工)

金型加工特集 「工作機械編」

 われわれの生活を豊かにする生活用品の数々――――。
高付加価値商品の自動車やデジタル家電などを生み出すための基礎には品質の高い金型製作が必要不可欠である。金型の善し悪しが商品の品質を左右するのだから金型メーカーが大きな使命を背負っていっても過言ではない。ところが、現在、労働時間の制限や作業者の不足といった悩ましい現実に直面しつつ、仕事量が増えても短納期やコストダウンの要求が厳しい現状がある。これらの課題を解決しつつ、経済効果を上げるための〝金〟を生む〝型〟の製作において利益向上の鍵を握るのは、ものをつくるモト―――すなわち、「工作機械」、「切削工具・周辺機器」などの設備である。今回は、金型加工をテーマに、前編を「工作機械」、後編を「切削工具・周辺機器」として、注目各社の最新動向を掲載する。

(アマダ、OKK、岡本工作機械製作所、キタムラ機械、黒田精工、芝浦機械、ナガセインテグレックス、牧野フライス製作所、三井精機、安田工業、ヤマザキマザック、碌々産業)

トレンドはロボットを活用した自動化! ~ キタガワグローバルハンドカンパニー 自動化システムチームの力強さとは ~

 北川鉄工所(会長兼社長=北川祐治氏、本社:広島県府中市)は、2018年に創業100周年を迎えたことを機に、事業のさらなる成長と専門組織として対応力の強化を狙い、各事業分野のカンパニー制を導入した。これにより一層グローバルな事業基盤確立し、積極的に新たな展開を見せている。その中でも、目覚ましい飛躍を遂げているのが、キタガワグローバルハンドカンパニーだ。

 現在、製造業における自動化の進展に伴い、産業用ロボットの需要が伸びている。ここで必需品となるのが〝産業用ロボットハンド〟だが、チャックで培った〝モノを掴む技術〟を存分に活かして工作機器分野にイノベーションをもたらした商品製品の数々を市場投入しているのは、発足して丸1年が経過した同社の〝自動化システムチーム〟である。製造現場の自動化や省人化を推進し、現場の効率化に貢献する専門部隊だ。妥協のない品質と性能でkitagawaブランドを牽引している。

独立時計師 浅岡 肇 氏の製造現場を拝見! ~工作機械が洒落て見える不思議空間~

 2009年に日本で初めて難易度の高いトゥールビヨン機構を搭載した超高級機械式腕時計を発表し、世界中に大きなインパクトを与えた独立時計師 浅岡 肇氏。過去には広告や雑誌の世界でも手腕を発揮し、その個性的な発想は創造性に富んだ時計製作にも表れている。世界でたった29人しか存在しない独立時計師で構成された独立時計師アカデミーの正会員でもある浅岡氏が設計、加工、組み立てまでの全工程を手がけている希少性の高い時計の数々はもはや美術品。精度の高さと美しさを兼ね備えた時計として世界中から高い評価を博しておりファンの心を掴んで離さない。

 浅岡氏は昨年、作業現場(アトリエ)を都内に増設し、新たに工作機械を導入した。世界中のファンを魅了するラグジュアリーな超高級腕時計の製作現場を見学するとともに、製造業界への思いを語って頂いた。

ものづくりに感動を与える 星製作所 ~デジタルなものづくりで高能率・高生産を実現~ 

 従業員数5名でありながらパワフルな経営展開をしている星製作所(社長=星 肇氏:東京都八王子市美山町)。主な事業内容は産業機器向け板金筐体・部品、板金ケース、自作ケース、エフェクターケースの製作だ。ウェブサイトを活用した「板金ケース.com」、「自作ケース.com」、「筐体設計.com」では、1個からカスタマイズ、セミオーダーで全国からケースを受注する画期的なビジネスモデルを展開している。

星社長の経歴もユニーク。工場を経営していた両親の影響もあり、幼少の頃からモノをつくることが好きだったが、就職した先は製薬会社。ここで学んだことが、その後の工場経営に大いに役立ったという。現在、同社で依頼される製品は多種多様だが、板金加工に必要な加工ノウハウをデジタル化し、工場内のマシン・ソフト・人を繋げて高い生産性を誇っている。

北海道住電精密 ~高度な粉末冶金技術と最新テクノロジーによる一貫生産で刃先交換式インサートを製造~

 世界40カ国、約27万人企業として多彩な事業を展開している住友電工グループ。現在、“自動車”、“情報通信”、“エレクトロニクス”、“環境エネルギー”、“産業素材”の5つの事業分野を確立している。その中で、今回、注目したのは産業素材分野だ。同社の源流でもある銅電線の伸線技術を応用した特殊金属線、伸線に必要な線引きダイスの内製化を機に“超硬合金”の開発が行われ、粉末冶金技術を活かした切削・研削工具の数々は、あらゆる領域で世界のものづくりを支えている。

 同グループの超硬工具イゲタロイ基幹工場として常にトップレベルの製品と技術を創造しているのは、北海道住電精密(北海道空知郡奈井江町:社長=大屋敬雄氏)だ。最先端の技術と品質管理で、超硬合金の“粉末原料”を製造し、世界へ広がる関係会社へ供給するに加え、“刃先交換式インサート”(スローアウェイチップ)の量産製造をメインとした専門工場である。最新システムとテクノロジーによる一貫生産が特長で、高度な粉末冶金技術とファクトリーオートメーションの融合により原料から製品まで高効率生産を行っている。大屋社長にお話しを伺うとともに工場内を取材した。

不二越 工具事業部 「もっと加工に革命(Revolution)を!」 ~最新工具の強みとは~

 多彩な事業と技術で世界のものづくりに貢献している不二越の強みといえば、なんといっても“総合機械メーカー”だということだろう。1928年の創立より培われた生産ノウハウを有する強みのもと、世界中の製造現場に独自性の高い商品やシステムを提供し、生産ラインの高能率化に貢献している。

 「もっと加工に革命を!」のスローガンを掲げている同社工具事業部。切削加工条件の多様化から、超硬工具の需要が拡大する中で、2015年には超硬材料開発プロジェクトを立ち上げ、2018年に超硬素材を内製化した。材料開発、製造設計技術開発に注力し、現在、1本の工具でなんでも加工できる汎用工具、用途に合わせてダントツの性能を誇る専用工具を有する『アクアREVO』ブランド工具を次々と進化させてラインナップを拡充しており、その勢いは止まらない。工具の生産拠点である富山事業所(富山市不二越本町)にある工具事業部を訪ね、お話を伺うとともに、新商品群のデモ加工や優位性を取材した。

【技術事例】独ベンジンガー社 ブルーム-ノボテスト社製の測定器を採用 ~DIGILOG技術によるミクロン加工精度の追求~

 現在、宝飾業界では5軸マシニングセンタを含む最先端のフライス加工技術の活用が広がっている。Carl Benzinger GmbH(ベンジンガー)社は、宝飾業界向け専用機の開発と製造から得たノウハウを、要求精度の高い小型部品を製造する革新的な汎用CNC機械へ展開を行っている。また自動化生産の実現に向け、対象となる全ての機種にブルーム-ノボテスト製の機上測定器を搭載している。

 ベンジンガー社の経営パートナーである Rainer Jehle氏は会社理念の説明時に「私達は常に最後の数ミクロンの精度を実現しようと試みており、信頼できる機械プロセスは私達にとって非常に重要である。」と強調した。

日進工具 新開発センターを竣工! ~生活振動すら寄せ付けない超ハイテク開発センターを見た!~

 微細工具で名高い日進工具(社長=後藤弘治氏、本社:東京都品川区)が、同社仙台工場(宮城県黒川郡大和町)隣接地で兼ねてから建設を進めていた「新開発センター」がこのほど竣工した。投資額は13億円。同センターの特長は、免振装置に微小振動対策ダンパーを加えることで、微振動を減衰させる“オールラウンド免震”が採用されていること。この構造が実際に加工を行う工場内で活用するのは、日本でも類を見ないだろう。同社の開発・生産統括を担う後藤隆司副社長にお話しを伺い、稼働する前の新開発センターを見学した。

【年頭所感】「新たな価値を日本から生み出す」経済産業大臣 梶山弘志

(はじめに)
 令和2年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 令和初めての新年を迎え、7月には東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ開幕します。

 1964年の東京大会では、戦後復興を見事に成し遂げた日本の姿を世界に示しました。その主役の一つは、先端技術の粋の結晶である新幹線です。当時、「鉄道の高速化は時代錯誤」との批判もあるなか、先人たちは努力と叡智を結集させ、長距離移動にイノベーションを起こしました。56年の時を経て、日本の新幹線技術は、国内のみならず海を越え、世界の人々の移動を支えるに至っています。