「新たな成長に向けて変革に取り組み果敢に挑戦する」北川鉄工所 キタガワグローバルハンドカンパニー 松葉社長に聞く

北川鉄工所(本社:広島県府中市)は本社および周辺工場を2028年3月までに再編するとして現在工事が進んでいるが、同社の中核を担うグローバルハンドカンパニー(上席執行役員 キタガワグローバルハンドカンパニー社長=松葉範仁氏)の新たな生産拠点として本年1月、新工場『FACTORYⅠ』が完成し、増産体制を強化している。また、本年秋にも好調なインドに建設中の工場が稼働する予定であり、グローバルで力強い営業展開を推進している。
できたてホヤホヤのFACTORYⅠの魅力に加え、松葉社長にグローバルな需要への対応や人材育成についてお話しを伺った。
至るところにチャックがモチーフ! FACTORYⅠのココが凄い!


本年1月に稼働したFACTORYⅠ。建屋面積は5,395㎡。ここで生産されるのは「BRチャック」、「スクロールチャック」「グリッパ」のボリューム製品だ。建物の中は同社のシンボル的役割を果たすチャックのデザインが美しく調和されており、一般的にイメージする工場っぽさをまったく感じない。本社工場の特長を松葉社長に尋ねると、「自動化を促進し品質を極めるため、設備の状況や工程進捗の見える化のためのDXの推進を強化しました。」と返ってきた。
この工場は、〝止まらない工場〟としてロボットとAGVを活用し、人による〝価値作業の最大化〟を目指したものになっている。〝見える化〟により、あらゆるロスも丸見えとなるので、モノの滞留も無くストレート生産が可能になっているのも大きな特長だ。
また、近年、製造業は持続可能な開発に対してどのように寄与できるかが問われているが、同社では環境負荷低減を推進しており、従来の工場では見えていなかった電力消費量を、「空調」、「コンプレッサ」、「機械設備」レベルで見える化を実現、松葉社長は、「新たな気付きが生まれることで省エネを促進しています。」と環境への取り組みに注力していることを示した。
製造業がCO2削減など、循環型社会への実現に向けて戦略的に省エネへの改善努力に取り組むことは持続的成長を促すことにつながり、新たな利益を生み出すとして、経営戦略としても欠かせない重要課題となっている。FACTORYⅠでは、こうした観点から、従来、研削盤ごとにクーラント液を個別管理していたが、集中管理へ移行した。これにより、次のメリットを生み出している。
(1) 油やスラッジを循環除去し、菌の繁殖を防ぐことで作業員の手荒れ緩和、工場内腐敗臭低減。
(2) 腐敗抑制によるクーラント液の寿命延長の実現で更液頻度を半年から2年へ延長。
(3) 廃棄物減量。
(4) 定期補充、タンク清掃などの個別メンテナンス工数削減。
(5) クーラント液の濃度や温度の統一による加工精度の向上。