「第57回機械振興賞」経済産業大臣賞にマツダ、マツダE&T 

 

 機械振興協会会長賞(企業名 50音順)

「自動瓶飾り装置の開発」
●アビリカ、 推薦:日本機械設計工業会 

230116top3 高級日本酒の瓶の口を飾る、かけ和紙と組み紐による蝶結びは、美観が重要で、手先の器用な作業者が手作業で行っていた。しかし、出来栄えの個人差が大きく、出荷量が多いと作業者の負担も大きかった。本業績では、蝶結びと比べて、ほどけにくい結び方であるイアン・ノットの結び動作が、二次元的で機械が扱い易い結び方であることを見いだし、かけ和紙についても折る前に金型で折り目を付け、従来の複雑な工程を折り目に従って畳む作業に置き換え、機械による自動化に成功した点などを評価した。

 

「接点接触と操作感発生を同期させた押ボタンスイッチ」
●NKKスイッチズ


230116top4 テレビなどの放送現場では、カメラなどの切り替えのタイミングを正確に行うための繊細なスイッチ作業が要求される。そのため、押しボタンスイッチのON/OFFの切り替わりのタイミングと、指に伝わるクリック感が一致することが求められている。従来のクリック感は、接点を接触させるための部品が発生させるのではなく、スイッチを押す動作に連動した別の部品が、バネの力で勢い良く動くことで発生させていたため、わずかなタイミングのずれが生じていた。本業績では、クリック感を発生させる部品がクリックを発生すると同時に接点をON/OFFさせることで、タイミングを一致させた点を評価した。

 

「自走式精密検査ロボットの開発」
●JFEスチール、推薦:日本鉄鋼協会

230116top5 一般に厚さ6mmを越える鋼板は厚板と呼ばれ、建築や発電所等の重要な社会インフラに多く用いられている。特に60mmを越える厚板は内部の品質管理が難しく、従来は資格を有する作業者が超音波探傷機を手押し台車に乗せて、手動操作で測定を行っていた。しかし、厚板上で検査機器を動かす精度や、検査結果を手作業で記録する正確性、作業能率などに限界があった。本業績では、自走式の測定システムを開発し、無人で測定結果をデジタル化して記録するシステムを開発した。また、本方式による測定がJIS規格に適合することが認められている点も評価した。

「車両遠隔制御自律走行搬送システムの開発」
●トヨタ自動車、推薦:日本自動車工業会

 
230116top6 電気自動車化によるバッテリー搭載などによって車重が増え、工場内の組立ラインから検査ラインへ車両を移送する自動搬送コンベアが使えなくなってしまっていた。そのため、ドライバーによる移送が必要となり、生産性向上の課題であった。本業績では複数の監視カメラによる画像認識技術と、自動車と工場設備との無線通信技術により自律走行搬送を実現した。また、工場内で多数発生したイレギュラーな事象にも、安全を最優先に制御でき、以後、適切に改良を継続している点も評価した。

 

「光学式非接触測定用高精度化前処理スプレー」
●フジオカ、鳥取県産業技術センター、小池化学

230116top7 3D データの活用が多くなり、高速に形状データを測定できる光による非接触測定の利用が拡大している。しかし、光沢面では方向により光が正反射してしまい、センサ側にほとんど返ってこないため測定が難しく、探傷用の粉末スプレーなどを噴霧して、光を拡散させることで測定していた。しかし、探傷用の粉末スプレーは粒子が大きすぎたり、不均一塗布になり易く、精度の高い測定が出来なかった。本業績では最適な粉体と粒子と粒子径および溶剤との混合割合を見出し、作業性に優れ、測定精度も向上させた低価格製品を開発したことを評価した。

 

「霜取りに冷媒の凝縮潜熱を活用した寒冷地向けノンストップ暖房技術」
●三菱電機

230116top8 ヒートポンプ方式は暖房においてもエネルギー効率が高く、CO2排出削減効果も高いレベルにある。しかし、寒冷地では、室外機の熱交換器に霜が付着してしまうために、熱交換動作を逆転させて、霜取り運転を行う必要があった。その間、屋内の暖房を停止させる必要があり、ユーザーは、寒い思いをしていた。本業績では、今まで使われていなかった冷媒の凝縮潜熱を活用することで、少量の冷媒で霜取りを実現すると共に、熱交換器を2分割して片方ずつ霜取り運転を行うことで、暖房を完全に停止することなく、快適さを保ったままで、霜取りを行っている点を評価した。

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