「第57回機械振興賞」経済産業大臣賞にマツダ、マツダE&T 

 機械振興協会(会長=釡 和明氏)は、このほど「第57回(令和4年度)機械振興賞」の受賞者を発表した。経済産業大臣賞はマツダ、マツダE&Tの「みんなが走る歓びを共有できる新コンセプト自操車の開発」が受賞した。今年度は33件(大企業14件/中小企業8件/小規模事業者8件、その他1件、支援活動2件)の応募の中から、経済産業大臣賞1件、中小企業庁長官賞1件機械振興協会会長賞6件、審査委員長特別賞2件、奨励賞4件、中小 企業基盤整備機構理事長賞1件が受賞した。受賞者の選定理由は次のとおり。

経済産業大臣賞

230116top01

「みんなが走る歓びを共有できる新コンセプト自操車の開発」
●マツダ、マツダE&T

  下肢に障害がある運転者は、ハンドル操作の他にアクセルとブレーキ操作を手で行う必要がある。そのため、常に両手を用いることを強いられ、長時間運転は困難であった。また、後付けとなる補助装置が、運転席の空間を狭め、健常者が運転する際の妨げになることもあった。本業績は、ベース車の開発と連携して補助装置の設計を進め、補助装置を生産ラインオプションとしたため、運転席の空間を十分確保でき、価格も抑えられている。また、ハンドルに取り付けられたリング状のアクセルは、ハンドルのどこを握ってもアクセル操作ができ、速度維持から加速に変わるポイントでアクセルの操作反力を強くして、速度維持し易くしている。これによりコーナリングのハンドル持ち替え時も安定したスピードで運転できるようにした。さらに、障害者と健常者のそれぞれのモード切り替えを容易にし、共に運転を楽しめるようにしたことを高く評価した。

 中小企業庁長官賞 

230116top2

「軟質系高機能材料用精密スライス加工装置の開発」
●ニッピ機械、推薦:新産業創造研究機構

 軟質系材料を薄く正確な厚さにスライスするのは非常に難しく、皮革などでは加工品質も重要となる。近年では、半導体や自動車などで用いられる熱伝導シートや衝撃吸収材などのスライシングにも用いられ、より高い加工精度が求められている。本業績では、高速回転するバンドナイフの前後方向の刃先位置をフォトセンサーで検出し、正確な刃先位置制御を行うとともに、刃先を研磨する砥石の制御をデジタル化し、微細な切込みや砥石回転数を自在に制御できるようにした。また、刃先をモニタするためのカメラを設置して、刃先の研磨状況を確認できるようにした。さらに、バンドナイフの回転速度と材料の送り速度の相関関係を、材料の材質、硬度別にデータを収集し、加工品質を高めるための最適な条件を導き出して、厚さ0.2mm±0.03mmのスライスを実現した点を高く評価した。

1 / 4 ページ
moldino_banner

 

 

intermole2024_大阪