【レポート】DMG森精機の「IGA INNOVATION DAY2015」 世界最大の工作機械展示場に生まれ変わる

DMG森精機(社長=森 雅彦氏)が7月22日(水)~25日(土)の4日間、同社伊賀事業所で「IGA INNOVATION DAY2015」を開催し多くの来場者で賑わった。今回は、リニューアルを行い世界最大となる工作機械の展示場を初公開したということもあり、8,900名を上回る来場者に会場は連日活気に溢れていた。

今回「IGA INNOVATION DAY2015」を開催するにあたり、21日にプレスデーが開催され、展示会に先立ち記者発表が開かれた。概要をレポートする。

マシニング・ソリューション・プロバイダを目指したい

Dr.Schimidt営業担当代表
Dr.Schimidt営業担当代表
同社の営業担当代表であるDr.Schimidt氏は、2015年の世界の工作機械産業について、「安定している状態である。世界全体でみても3.3%増加を見込んでいる。国別にみても、日本は8.1%の上昇である。これらのことから本年、われわれの成長において日本の販売というのは大きな市場になると考えている」と説明、EUのセグメントの状況については、アメリカも加えて6.9%の成長を見込んでいるとしたうえで、「しっかりとした工作機械の需要がある。今後もわれわれのシェアを伸ばしていく」と力強く述べた。

森社長は会見で、「全世界で20箇所の生産拠点がある。フロアスペースとして1万8000台の生産能力がある。今年は1万2000台程度を生産する予定である。昨年が1万1000台強だった。2020年には効率を高めながら、1万8000台を達成したいと思っている。その中でもインターネットを駆使し、社員教育の充実をさせ、精密なものづくりを行っていく。われわれの調査によると、35万件ほどお客様がいらっしゃる。そのうちの半分はすでにわれわれの機械を使っていただいている。いかに機械を止めずにサービスをしていくかが重要になっていく」と説明、DMG MORIとしてひとつのグループになった動機については、「世界で開催する見本市ではたくさんわれわれの機械を見せるし、大勢のお客様が来られるが、とてもゆっくり見られたものではない。1日~2日かけてじっくりとテスト加工をしてもらい、最新の測定機で測定し、お客様と一緒に加工方法を開発していくという狙いがある」とした。

森社長
森社長
また、今後の展開については、「全世界で600台のテスト加工機をおいているが、わがグループでは1000名のアプリケーションエンジニアがいる。彼らはお客様と一緒になって加工方法を開発していくという仕事をしている。2009年、両社が一緒になったときは、約300機種の機械があった。現時点で250機種に統合して、2018年~2020年までに150機種に絞っていく。150機種に絞ったといっても全世界の工作機械メーカーの中で最大の品揃えであるがまだ多いと思っている。一方、昔は一機種、一アプリケーションだった。このアプリケーションはシステム化、自動化などの目的のもと、アプリケーションをお客様と一緒に開発することで、製品の数は減るけれど、より深いソリューションを提供していくことができる」と述べ、「われわれはマシニング・ソリューション・プロバイダを目指したい」とした。

顧客と一緒に工程開発を行っていく

賑わいをみせたポルシェスペシャルイベント
賑わいをみせたポルシェスペシャルイベント
今回の「IGA INNOVATION DAY2015」では、世界最大級の展示会場を誇るが、森社長は、「ハノーバでやっているエモショー同等の状態を常時再現したいと思っていた。全世界のお客様がどうやって加工したらいいんだろう、と悩んだときに、この伊賀工場に来ていただければ、最新の機械が使える。工具も国内外問わず全世界の最新工具が並んでいる。CAMも全部使える。ありとあらゆるソリューションを提供することができる」と強みを強調した。これは、顧客と一緒に工程の開発を行っていくのが狙いとのこと。

今回の展示会では、7機種を世界初公開しており、計58台の工作機械を展示しているが、「最終的には80台ほどにもっていきたい」と森社長。また、自動車、航空機、金型、医療等の成長分野で、機械だけでなく、ありとあらゆるノウハウを提供するエクセレンスセンタを設置している。産業別にアプリケーションエンジニアが常駐し、全世界の顧客に対応できる人材を設置した。

今回、面白いと思ったことはツールルームを充実させたことだ。興味深いのは、「日本ではないような工具」を取り揃えていたこと。森社長いわく、「特にヨーロッパでは複合ツールというのがある。機械の複合化とはよく聞くが、工具の複合化も大変進んでいる」のだそうで、小洒落たセレクトショップのようなイメージをしているという。これについては、「今までわれわれはスーツを売っていたんですが、ついでにお洒落なネクタイやアクセサリー等も売りますよ、という感じです。このショールームに来ていただければ、最新の加工トレンドが分かります」と述べた。

さて、「IGA INNOVATION DAY2015」は、フロアスペースを拡張して全面リニューアルを行い世界最大の工作機械の展示場生まれ変わったグローバルソリューションセンタに新機種11台を含む計58台の最新鋭の工作機械を展示し、多くの機械でデモ加工を行った。豊富な見所を産業別に分けていたこともあり、分かりやすい展示となっていた。また、会場内が広くなったこともあり、ゆっくりじっくりマシンを見ることができた。

今回は、5軸でのレーザ金属積層造形を可能にするAM(アディティブ・マニュファクチャリング)ヘッドを搭載したレーザ加工機「LASERTEC 4300 3D」や4月から営業を開始したDMG森精機ワシノブランドの新デザインモデル「A-18S」、「G-07」、機能やデザインを一新した「ECOLINEシリーズ」などが世界初出展の機械であった。

セミナー風景
セミナー風景
展示会場内には「SELOS」を実際に体験できる108インチモニタの「BIG CELOS」やプレミアムパートナーシップを締結したポルシェのFIA世界耐久選手権に出場する第二世代「919 ハイブリッド」も展示し、7月22日(水)にはチームのレーシングドライバーであるBrendon Hartley(ブレンドン・ハートレイ)氏をゲストに招いてスペシャルイベントを開催した。イベントではトークショーを行い、レースの裏側や「ポルシェ919 ハイブリッド」の紹介、10月に開催される富士6時間耐久レースへの意気込みなどを語り、来場者が楽しめる充実した展示会であった。

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