【特別レポート】JIMTOF2014まとめ! 工作機械はタッチパネル型の制御装置が新登場! 流行の3Dプリンタなどを複合した新技術も! 工具や周辺機器は高硬度鋼の高能率加工、びびり低減工具、微細工具、新技術のセラミック工具まで! 

JIMTOF2012が10月30日から11月4日までの6日間、東京ビッグサイトで開催され、前回を上回る865社が出展し、生産技術に関するニーズに応える各メーカーの製品の数々や先端技術を見ることができた。

今回も前回同様、将来性の点から、自動車・航空機・医療・エネルギー産業分野を狙った製品が目立ち、加工工程短縮にみる経済効果はもちろんのこと、製造現場の課題解決に向けたソリューションを提案していた。また、今回の展示会で注目すべき点は、大手工作機械メーカーがタッチパネル型の制御装置を新登場させていたことだ。また、複合技術もさらに進化を遂げ、3Dプリンタと融合したものもみられた。一方、工具や周辺機器も高能率加工を睨んだ新製品の数々を展開、嫌なびびりを低減する工具や、セラミック工具も登場した。記者が見た「JIMTOF2014」をレポートする。

工作機械編

LC-2515 1A
LC-2515 1A
金属加工機械の総合メーカーであるアマダも、工程統合型複合マシン「LC-2515 1A」が注目を浴びていた。自社製「ファイバーレーザテクノロジー」の新技術を搭載している。最も注目すべき点は、オープンテーブルで遮光性を実現した仕様である。これは珍しい。安全性&作業性の両立や、ファイバー発振器による省エネ・高速はもちろん、なんと板厚6mmにφ3.4のタップ加工が可能になっていた。最小径は板厚の56%というから驚きである。工程統合、システムアップによる効率アップが期待できるアマダらしい製品だった。なお、同社は、10月21日(火)から25日(土)までドイツ・ハノーバー市で開催されたEuroBLECH 2014 第23回国際板金加工見本市において、JIMTOF2014でも目玉商品のひとつであった「ENSIS-3015AJ」が MM賞を受賞している。

“知能化技術”のネーミングでピンとくるのはオークマ。同社のマシンは「頭がいい」と言われ、多くのファンを獲得している。今回、進化した新世代知能化CNC「OSP suite」がデビューし注目された。搭載された5軸の空間精度、加工能力、操作性が優れた「mu-5000V-L」には来場者も興味津々。同社の花木社長は「高いレベルのものをつくる喜びを味わって欲しい。この機械は高価な工具はもちろん、安価な工具の寿命をも伸ばす工夫がある」とコメントしている。この理由については、主軸回転速度と送り速度の高度な同期制御のもと、刃当たりの切削力を均一化し、高能率加工ができる論理であった。操作性にも優れており、使う人の立場に立ったマシンづくりを展開していた。

さすがは“削りのOKK”。大阪機工は、“重切削に強い機械群”というイメージを印象付ける見事なブース展開をみせていた。削りを徹底的に追究したとしている「Rシリーズ」は、機能や性能を高めて登場。写真にある「VM660R」クラス最大級の重切削性能を実現させている。このマシンは豊富な主軸バリエーションが特長で、主軸駆動はギヤ3段切替式。ベアリング径はφ120mm、電力消費量も40%低減している。各軸ボールねじは、中空冷却・ダブルアンカー方式で熱変位対策もバッチリだ。また、液晶画面15インチカラーの大型操作パネルを搭載し、段取や操作を支援するOKK独自の画面を搭載している。

「マシニングセンタを誰でも使えるものにしたい」――という願いを実現したキタムラ機械は、5万画素数の画像を取り込むと、そのままカッターパスになるという独自開発のCNC制御装置「Arumatik-Mi」を搭載したマシン群を展示していた。この制御装置は、従来比5倍の演算処理速度と25万倍以上の512GBハードディスクドライブにより大幅に切削時間を短縮し、衝突防止機能や加工精度選択機能などオペレーターフレンドリーで作業者の負担を最大限に削減する豊富なアプリケーション機能が特長。また、5軸制御立形マシニングセンタ「Mycenter-4XT」は、 従来機比38%の省スペース化、23%の省電力化を実現。しかも5軸で2千万円を切ったという価格には驚いた。

自動計測での省力化を実現した黒田精工。高価なNC機ではなく汎用機に自動計測システムを搭載することで高いコストパフォーマンスが誇れる精密平面研削盤「GS-64PFⅡ」を展示。これは汎用機の使い勝手はそのままに、加工から計測までを机上にて自動で行えないかとのニーズに答えた新システムで、従来、オペレータが機外で行っていた計測作業を自動システムとして研削盤機内に組み込んだもの。加工スキルに頼ることなく誰でも簡単に安定した加工をすることができ、ワークセットから仕上がり寸法まで自動運転もできる優れたマシン。汎用機ながらアイテムも豊富でユーザーごとのカスタマイズも柔軟に対応し、オリジナルの1台が実現可能となっている。

2005年より世界ではじめてスカイビング工法(←工具とワークを相対的に傾け同期回転させることにより発生する相対速度を用い歯車加工を行う工法のこと)による量産を開始したジェイテクトは、汎用マシニングセンタによる歯車加工に革新をもたらすマシンを展示していた。複合加工機1台によるワンチャック加工で、加工能率5倍の高能率化が実現している。しかも製品がコンパクトかつ軽量化を実現し、設備コスト・加工コストとも従来比より70%も削減することに成功。従来は、工程専用機5台の専用ラインで生産した歯車部品の製作が、「e500H-GS」1台で、旋削から歯切り、穴あけまでをワンチャック加工する。同社のスカイビング加工の量産実績は、インターナルギアが30,000台/月、カップリングが25,000台/月、サンギアが25,000台/月。
スカイビング工法を説明した動画はこちら↓
http://seizougenba.com/node/5090

HB306z
HB306z
熱処理前の加工から仕上げまで、要求レベルの高い加工に貢献する清和鉄工は、シャフト状ワークもハンドリング容易な横形形状のCNCホブ盤「Artis(アルティス)HB056」を展示。横には小モジュール歯車に特化した仕上げ盤「LUXIS(ラクシス)FS056」が並べられていた。ひときわ目立ったのは省スペース設計でありながら切削トルクの大幅な向上により最大m12の切削が可能になった「HB306z」である。ダブルウォーム式ワーク駆動によりバックラッシュフリーで安定した重切削ができる。建設機械等大型産業機器用駆動装置のスパークヘリカルギヤ加工、ウォームホイール加工に威力を発揮する。

NZX4000/3000
NZX4000/3000
JIMTOF出展企業中最大となるブースに、新機種9台を含む計32台の最新鋭の工作機械を展示したDMG森精機。独自の最新技術と様々な機能で工作機械の操作性を画期的に変えた「CELOS」に注目が集まった。また、最近、大きな話題となったレーザによるアディティブマニュファクチャリングとミーリングを融合した「LASERTEC65 3D」に来場者も興味津々。写真にあるのは長尺・大径ワーク加工において究極の生産性を実現する大型高効率4軸複合加工機「NZX4000/3000」。迫力あるマシンだ。幅広の摺動面で高い剛性を確保し、安定した重切削が実現した。第1刃物台のY軸およびミーリング機能で大径シャフトワークの複合加工に対応する。

「超精密革命」がコンセプト―――“限りなきゼロへの追究”を掲げているナガセインテグレックス。小さなワークの精密平面研削のために開発された「SGC215」は、「小物金型部品の精密加工」を実現するために開発された小型超精密成形平面研削盤だ。砥石軸は剛性に富み、磨耗がないナガセ独自の技術が詰まったスピンドルを採用。40m/minもの高速反転研削加工を可能としながら、超低振動なマシン特性を実現している。同社では「精度と能率を両立することで“日本でしかできない”加工機を製作する」としており、「たとえ、チタンやSUSなどの難削材であっても高能率加工を実現させ、絶対に精度は妥協しない!」とする頼もしいメーカーと印象付けた。

東ホールの工作機械では、「生産ラインを革新、スマートラインの提案」をテーマに掲げた不二越。この写真はカバーが違うが、カバーを変えたギヤシェープセンタ「GM7134」が目立っていた。歯車加工も複合化にニーズが高まっているのを受け、ピニオンカッタを使ったギヤシェーパ加工と、旋削加工、穴あけ加工の複合化を実現したマシンだ。外径φ700mmまでのリングギヤの加工が可能で重切削にも対応する。主軸シャンクは「2面拘束のBT50」を採用している。歯切りと穴あけを両立するスピンドルユニットと回転テーブルで、加工能力はギヤシェーパ単能機やNC旋盤としても高い能力を誇る。

IQ300で加工したもの
IQ300で加工したもの
どこかの研究室をイメージしたような真っ白な空間が斬新だった牧野フライス製作所。巨大な5軸制御マシニングセンタ「T1」が迫力の動きを見せていた。記者が注目したのは、微細・精密加工機の「iQ300」で加工したサンプルだった。磨いていないのにピカピカだ。マシンそのものが球状工具を再研・最適化してくれるというから、この高品位な面が実現するという。また、「N2-5XA」も多様な小物部品に対応できるマシンだが、コンパクトなくせにスピードとパワーを兼ね備えた主軸は、なんと立ち上がり速度 が0.8 秒! また、傾斜軸と回転軸の駆動に高トルクDDモータを採用し、高加減速での動作を可能にしている。

HU100-5X
HU100-5X
期間中、Twitter上のつぶやきで反響が大きかったのが三井精機工業だ。三井精機といえば、キサゲの塊のような“徹底した機械のつくりこみ”が有名だが、それを反映したかのような反応が多く見られた。ブース内で目立っていたのは、最強の大型難削材加工マシン「HU100-5X」。巨大なワークである航空機のIPC(中圧圧縮機)のケースが、カバー無しの「HU100-5X」に乗っかっている。ワークはチタン製のリング材より旋削、切削によって展示品の形状まで削り出されたもので、この迫力には圧倒された。立体複合研削盤「VGE20A」も、ねじ・スプライン・ギア・円筒研磨などの複合加工が1回のチャッキングで加工できるマシンでありながらコンパクトで魅力的だった。

初日早々、ものすごい人だかりだった安田工業。機上で工具R形状の計測を実現した「YBM640V Ver.Ⅲ」に新しい技術をみた。このマシンは超高精度仕様。環境温度の見える化を実現している。計測用ブローブを傾斜面にタッチさせることでワークの傾斜角度、交点の位置座標が自動的に計測でき、光学式ラインセンサ方式が工具径・工具長、工具の振れを正確に測定する仕組み。マシンには、「サーモウィズ」を搭載し、温度センサーを、①基準ブロック温度、②機械右下温度、③機械右上温度、④機械左下温度、⑤機械左上温度、⑥ガード内温度、⑦切削液温度の7箇所に設置。熱変位を許さない、徹底した温度管理ができるマシンであった。

会期中、合い言葉のように「マザック行った? すごかったよ」の声を聞いた。来場者の度肝を抜いたという表現がピッタリなヤマザキマザックは、今回も来場者の期待を裏切らないブース展開だった。商談スペース、ブース内、どんな角度からでも、スマホ感覚で直感的な操作のできる新CNC装置「MAZATROL SmoothX」のメリットがこれでもかと観られるモニターの仕組みには圧倒された。複合加工機の代名詞でもある「インテグレックスシリーズ」は、加工部品の形状に合わせて、きめ細かなシリーズラインナップを完成。新CNC装置「MAZATROL SmoothX」の搭載で、高機能、高精度はもちろん、操作性、保守性に優れ、環境負荷も低減した。話題をさらった複合加工機にAM、金属積層機能を持たせたハイブリッド複合加工機「インテグレックスiAM」に、一目見ようと来場者が溢れていた。

微細加工機のリーディングカンパニーとして名前が挙がる碌々産業は、今回今まで以上に見所が満載だった。全面リニューアルされた「Android」。このマシンの特長は“アーモンドスリットアイ”だが、このアイラインが美しく点滅し、その様子に来場者は足を止めた。また、同社のマシンで加工し、サンプルとして展示されたコンパクトの微細かつ繊細な美しさがひときわ光を放っていた。このサンプルに魅了された国内外セレブが愛用する某メーカーからも問合せがあったと聞いている。もうひとつ、精密部品の製造技術で有名な由紀精密と同社が共同開発したデスクトップ型の微細加工機に注目が集まった。コンパクトでありながら高い剛性を誇り、家庭用の電気でまかなえるというエコである点も魅力的だった。「Android」が点滅している動画はこちら↓
http://seizougenba.com/node/5089

切削工具・周辺機器編

加工サンプル
加工サンプル
イワタツールのブースでは、目立つところに展示してあるものも面白いが、「秘密の部屋」にはもっと面白い画期的なものがあった。PCDドリル「トグロンミニチュアハードPCD」は、超硬への小径穴あけドリル。なんと超硬G3に、φ0.2 深さ0.8mmの微細穴加工ができるというから驚いた。同社の人気製品は、世界初の焼入れ鋼に20D以上の貫通穴を実現した「トグロンⓇハードロングドリル」。真円度・円筒度・面祖度が優れH7以上の精度も可能で、金型のイジェクターピンなどの穴加工も一発で加工できる。工程削減で納期の短縮ができるスグレモノだ。20Dまでの規格品に加え、それ以上の深穴用ドリルも製作可能だ。

シート面カッター
シート面カッター
マニアックな工具といえば栄工舎。今回もひと味変わった工具がズラリと並んでいた。ポート部シート面加工(Oリングタイプ)専用規格の「シート面カッター」は、TiNコーティング付きで丈夫で長持ち。使う人にありがたい工具となっている。他にも同コーティングで耐久性をプラスした「TiNリーマシリーズ」は、0.005mmトビの豊富なサイズを揃えて登場。航空機向けのスペシャルツールも展示していた。他にはない工具群がズラリと並んでいたが、こういったニッチな工具は、一定の需要があり、一度使うとやめられなくなるそうで、評価も高い。同社では加工の悩みについても相談を受け付けている。

WDO-SUS
WDO-SUS
切削工具はもちろんのこと、穴をイメージしたドットライトを利用したブースやサンプルワークも見事だったオーエスジーは、多様なものづくりのニーズに対応した「Aブランド」に注目が集まり、最新技術を駆使した高性能工具のラインナップは見応えがあった。また、ステンレス・チタン合金に威力を発揮する「WDO-SUS」ドリルは、切削抵抗を低くし、加工硬化を抑制する技術から、ドリル自身の工具寿命だけでなく、次工程で使用するタップ、リーマの工具寿命延長につながるとして魅力的な工具だった。切り屑を細かく分断するうえ、被削材と摩擦する面積が減少し、マージン部で発生する摩擦熱を低減する特殊マージン形状に同社の技術をみた。

見所満載の北川鉄工所は、「量産ワーク加工ラインで活躍するDGチャック及びNC円テーブル」が来場者の足を止めていた。また、超コンパクトNC円テーブル「CKR160+薄型TSR」は、さらなる薄さを追求し、専用TSRによって限られたスペースの中でより大きな治具設計が可能になっている。この製品のポイントは、①動厚(テーブル高さ)が動サイズNC円テーブルの中で世界最薄の99mm、②ブロックレス構造ロータリージョイント7ポート対応(空圧/油圧)、③30番小型マシニングセンタに最適――である。向上スペースの有効活用の付加価値を提供する。また、来年4月に発売される予定のチャック交換式システム「HG-C17」は多品種少量生産に特化した製品。

今回、西館エスカレーターの前という好条件に恵まれたジーベックテクノロジーは、バリ取り自動化という画期的なツールで来場者の注目を集めていた。新製品はXEBECブラシ表面用オプションツール「XEBEC自動調整スリーブ」。人為的障壁や人手によるバラつきの原因であった手動での工具長補正を不要にするから工具管理負担やリスクを解消するメリットがある。また夜間無人加工で、機内に装着したまま、切込み量・線材突出し量を最後まで一定に保つことができるため、品質・ツール寿命の安定化に貢献する製品である。また、同社の販促グッズであるカート式ボックスは、来場者の体力の負担を軽減させるうえ、宣伝効果も高まる良いアイデアであった。

セコ・ツールズ・ジャパンのブース内で注目されていたのは、高送りカッター「ダブルオクトミル」。高送りフェースミルカッタは、80 ~ 160mm 径から選択可能で、大きな部品の加工に貢献する。独自のポケット設計とチップの取り付け溝で、切り込み量を浅く、一刃当たりの送り量を高くすることができるので、切り屑除去率が向上、機械のスピンドルで軸方向に切削力をかけることで安定性が高まり、振動が低減され、工具寿命が長くなる仕組みである。振動を低減するステディラインは画期的な工具であった。セコ・ツールズはなんと全33,000もの商品群がある。また、同社独自の情報ソリューションも強化し、ユーザーに必要な情報を提供するとしていた。

SKSエクストリーム
SKSエクストリーム
いつも来場者を楽しませてくれるダイジェット工業。注目すべき点は、今回のJIMTOFに、なんと6商品もの新製品を出したことだ。記者の知る限りでは、おそらく6商品も新製品を出した工具メーカーはダイジェット工業だけだろう。開発意欲に並々ならぬ意気込みを感じた。今回は高送りダイマスターSKS型を更に進化させた新製品「SKSエクストリームEXSKS形」が注目された。軸方向切込みは最大3mmで1刃当たりの送り2mmの高送り加工が可能。チップは両面使用可能で従来品の倍の6コーナーと経済的でもある。好評の刃先交換式ドリルTA-EZに加工深さ8Dタイプを追加した「TA-EZドリル8DタイプXL形」や、「タイラードリル」なども多くのダイジェットファンを魅了した。

爽やかな青色が印象的なBIGマークでお馴染みの大昭和精機。今回は、ハイドロチャックのジェットスルーシリーズが新たに追加になって登場。レンチ一本で簡単脱着。完全密封構造で油漏れもしない。クーラントやオイルミストを刃先に的確供給し、5軸加工機での高精度仕上げ加工に威力を発揮、振れ精度も4d先端3µm以下という高性能である。また、好評の「EWN仕上げヘッド」と「スマートダンパー」が融合した「スマートダンパーEWNヘッド」は、ヘッド内部に防振ダンパーを組み込むことで振動の発生源である刃先からダンパーまでの距離を短くすることで一層高い防振効果が実現し、ビビリをシャットアウトする魅力ある製品であった。

工程削減と高能率、そして経済性を実現した工具を展開していたタンガロイ。注目されていたのは高精度直角肩削りカッタ「Tung-Tri (タング・トライ)」だ。新開発の3コーナ仕様インサートを採用した高精度直角肩削りカッタで、インサートを多コーナ化することで高い経済性を実現する。ヘリカル切れ刃を適用することで、良好な壁面精度が得られるのも特長的だ。最も注目すべき点は、特殊な逃げ面形状を採用することで、加工中のびびり振動の発生を防いでいることであろう。カッタボディは、それぞれ最適刃数を設定しており、切れ刃欠損の要因となる切りくずの噛みこみを防止する。美しい切削加工を実現する工具だった。また新しくできた切削加工支援アプリも好評だった。

親切丁寧、常に工具を使う人の立場を考慮した製品を提供している日進工具。ここの工具を写真に収めるのは一苦労なくらい刃先が微細。今回の展示会では、高硬度材への加工に最適なCBNエンドミルシリーズから3枚刃ラジアスエンドミル「SHR320」を展示していた。3枚刃の採用による高送り対応とスパイラル形状コーナーRが切れ味を向上させている。従来のCBNエンドミルに比べ、高能率に加工出来ることが可能になった。ほかにもトレンドになりつつある超硬合金への直彫り加工を可能とするPCDエンドミルシリーズやダイヤモンドコーティングシリーズなど付加価値のあるものづくりに貢献する各種小径エンドミルを展示していた。

アルファ高送りラジアスミル4コーナ ASRFmini
アルファ高送りラジアスミル4コーナ ASRFmini
今回、最も斬新な工具を展示していたのが日立ツールだ。同社では数年前からセラミック工具の開発を進めてきたが、今回、参考出品として「セラミックエンドミル」が展示されていた。切削熱で材料を形作るという工具なので、馴染んでいる金属加工とは全く違って戸惑ってしまった。現在、軽量かつ強靱な新素材が必要とされているが、CFRPでも分かるとおり、そのほとんどは難削材である。そういった観点からみると、時代に必要とされている、まさに最先端の次世代工具を展示していたといえる。この動画をみていただければ、斬新な加工が分かるだろう。他にも「アルファ高送りラジアスミル4コーナ ASRFmini」などが目立っていた。セラミック工具で加工している動画はコチラ↓
http://seizougenba.com/node/5094

分かりやすい展示で好評だった不二越。やはり人気は難削材でも簡単に穴開けできる刃先交換式ドリル「アクアドリルEXVFシリーズ」だ。切削的高の小さい直線切れ刃と油穴位置の工夫が凝らしてあり、幅広い被削材料で超寿命を実現している。V型マウント方式で簡単な取り付けができ、一体型チップ方式の採用で切削バランスに優れ、高い穴開け精度を誇る。切れ刃がフラット形状で、座ぐり、傾斜面、バリレス加工が可能な「フラットタイプ」もあった。工具開発を担当する関口徹ラウンドツール室長は、「ものづくりを革新する工具がわれわれのテーマ。フラットドリルは好評なので今回、お客様の要望に応えて追加しました」と説明してくれた。

WSX445
WSX445
高硬度鋼を高能率・超寿命・安定化する工具を展開していたのは三菱マテリアルだ。「iMPACT MIRACLEエンドミルシリーズ」は、特殊複合ラジアス形状と多刃で高硬度鋼の高能率加工を実現している。SKD11の寿命比較(φ6)でも、他社品と比べて寿命が10倍も伸びたというから驚いた。薄い切り屑を放出させ、かつ長い切れ刃の効果と、半径方向の切削抵抗を小さくし、工具の振動やたわみを抑制するという独自の振動抑制形状は、ネーミングのとおりインパクトのある工具だった。また、切れ味と経済性を追求したインサート式ミーリング工具「WSX445」も注目を浴びていた。

新製品の開発や専用機の自社開発に注力しているユキワ精工のブースで注目されていたのは、荒加工も仕上げ加工も1本のホルダで加工できる「スーパーG1チャック」だ。加工時に大きな音を出すのは無駄なエネルギーとされ、ツールホルダーの剛性が十分でないことが考えられる。剛性が十分でないとびびりが発生し、面が美しくない。ユキワ製の「スーパーG1チャック」は、高い剛性で、振れない、びびらない、しかも仕上げ加工が不要なくらい、ワークの仕上がりが良好であることを示していた。工具摩耗も減少するので、工具費用を抑えることにも繋がる。本体、ロックナット、コレットのバラツキを極限まで追求し、独自の「総合芯振れ精度5μm保証」を実現しているのも同社の特長だ。

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