「JIMTOF2010」来場者が注目していた製品はコレだ!(工作機械編)

10月28日~11月2日まで開催された「JIMTOF2010」。
高精度化はもちろん高効率加工、省エネにエコ、そしてコスト削減――。
最新の加工トレンドがふんだんに盛り込まれた各社の製品が会場内にズラリと勢ぞろい。前編に続き、後編は「工作機械」を記載する。

独自技術で共振なし!「HERMLE」 愛知産業

ヨーロッパを中心とした各国で高い知名度を誇る、HERMLE(ハームレ)社の5軸マシニングセンター。
一般的に多軸マシニングセンターは、軸数が増えるごとに絶対的な位置精度誤差が増え、さらに温度変化によって機械本体が変形するという難点があるが、このマシンは精度アップの根幹策として「石」を採用している。マシニングセンターフレームは、花崗岩とほぼ同じ材質の人造石で造られたワンピース構造。これにより、“剛性が高い”、“温度変化が少ない”、“振動・共振しにくい”という3つの基本要素が得られ、高い精度を実現する基礎が出来あがっている。







エコなのにスピーディ「TECHSTER126」 アマダ/アマダマシンツール

展示していた新製品は中型平面研削盤「TECHSTER126」。
この製品の特長は、エコなのにスピーディであるということ。油圧レス化によるCO₂排出量が80%削減できるうえ、ダイレクトドライブにより送り速度が3倍、しかもパワフル。
高馬力、高剛性主軸の採用で研削能力が1.5倍、研削ノウハウが充実し、タッチパネル式新ソフトも搭載している。安全・安心と作業性を両立したカバー、設置面積も14㎡で低重心高剛性フレーム構造も魅力だ。



金型加工に特化した「VB53」 大阪機工

OKKの目玉となったマシンのひとつは金型加工に特化した立形マシニングセンタ「VB53」。このマシンは、主軸最高回転数20,000min⁻¹、2面拘束(BTタイプ)、リニアスケール、金型加工用機能(データサーバ、ハイパーHQ)を標準装備し、ワイドなリニアローラガイドと高分解能ボールねじの採用で高い送り剛性を確保。切粉処理、接近性、省スペースを考慮した構造が特長。主軸やテーブルへの接近性に優れているため、オペレータに優しい機械仕様だ。







高い平面度要求を実現する「PSG158CH-iQ」岡本工作機械製作所

門形平面研削盤「PSG158CH-iQ」は、モータコア用金型など高い平面度が要求される部品加工用に小型タイプの門形研削盤。
前後800㎜サイズは、要求精度によって形持ちタイプと門形のどちらかを選択できるようになった。
特長は、①高剛性(コラム形に比べ45%アップ)、②独自のクロスレール精度調整機構(特許出願中)、③100㎜幅砥石仕様で高能率・高精度加工――である。



低コストマシン「KNC-20G」 北村製作所

最新ニーズに対応する省スペース、低コストマシンの超小型精密CNC旋盤「KNC-20G」。このマシンは、くし形刃物台旋盤の最大のメリットともいえる高速バイト呼出が特長。スライド上にバイトが「くし状」に取り付けてあるため、旋回創出の必要がない。
同社独自の高精度な主軸と高加速サーボモータ、最新高速CNCの採用で、従来機に比べてよりサイクルタイムを短縮している。職人技を必要とするこだわりの「きさげ加工」もさらに磨き上げ、経年変化に強い安定した精度を約束している。さらにNC指令0.1μを標準仕様とし、より滑らかなテーパ/R加工を可能にした。







0.1μmの技! 「GS-45シリーズ」 黒田精工

開発目標に研削盤に0.1μmの精度要求に応えられる「職人技」を研削盤に持つことを掲げてきた同社。今回、操作性、剛性、精度、メンテナンスと全てにハイクオリティな研削を可能とした「新世代職人 GS-45」シリーズを誕生させた。
洗練されたスーパーホワイトのボディカラーも特長で、明るく清潔な工場環境を考慮しており、「職人芸」で造られる高精度左右送りには匠の技がふんだんに盛り込まれている。







複雑形状をこなす「M32」 シチズンマシナリー

主軸台移動型CNC自動旋盤「M32」は、くし刃回転工具にB軸を搭載。多彩なツーリング構成を実現する背面刃物台Y軸も装備している。
B軸とはY軸方向に対する傾斜軸を表す。斜め穴あけ加工などにおいて、従来機は可変傾斜スピンドルを用いて対応していたが、B軸を搭載した回転工具では連続して角度可変することができるメリットがある。さらに従来のMシリーズ(M20/32)で培った豊富なタレッとホルダーを新しいM32でもそのまま仕様することもできる。



累積ピッチ誤差を極限まで抑えた「AG600LP」 ソディック

リニアモータ駆動の高速・超精密ワイヤ放電加工機「AG600LP」は、高密度化が加速する順送プレス金型でのプレート加工などにおいて、累積ピッチ誤差を極限まで抑えた高精度加工を実現するマシン。世界のあらゆる設置環境・運用環境でも連続稼働による生産効率アップを図る。機械の加工・組立・調整にて超高精度を追求しているので、造りこみ精度の向上に役立つ。さらには超高精度ローラーガイド採用で高剛性化と高精度化を実現、同社独自の開発の製造・噴流ポンプを採用したことにより、ワイヤ放電加工に最適な制御を実現した。



あらゆる加工に挑む「TUE」シリーズ 東芝機械

東芝機械のベストセラー機の「TUE」がリニューアルして登場した。
加工範囲を拡大する穴あけ、タップ加工もできる複合機(S)タイプを加えさらにパワーアップ。刃物台の左右移動(X軸)の案内面に高剛性リニアガイドを採用し、高精度な位置決めを実現したことが特長である。熱源であるギア箱をベッドから離し、熱変位を最小に抑え、本格的C軸割出し機能と強固なクランプ機構で高精度テーブルを可能にした。また、主要構造部品は全て高級鋳鉄を使用し、コラムは剛性の高い箱形構造。テーブル最高回転速度(TUE-150:400min⁻¹ TUE-200:240min⁻¹)もアップし、高能率が期待できる仕様である。

50番主軸と同等の切削を誇る「a61nx」牧野フライス製作所

牧野フライス製作所が展示していたのは、50番主軸と同等の切削を誇る横形マシニングセンタ「a61nx」だ。大量に発生するさまざまな切りくずを確実に処理する切りくず対策も万全を期している。切りくずの堆積を防ぐ垂直面と傾斜面で構成された加工室内カバーに加え、X・Z軸カバーは1枚の板金で構成し、切りくずの噛み込みトラブルを防止している(a51nxのみ)。また、切りくずはクーラントともに幅広のセンタートラフに落とし込まれ大流量のベースクーラントで確実に機外に排出する仕組。自動化による生産性の向上も期待できるマシンである。







フィルム方式超仕上「SFC025Md」 松田精機

高効率で簡単操作、しかもローコストなフィルム方式超仕上盤「SFC025Md」。この製品は、砥粒の摩耗や研磨圧変化がなく、被研磨物の寸法精度に影響を与えず、Rz0.8μ以下の仕上げ面粗度が安定して得られるフィルム方式円筒超仕上げ盤である。仕上げ面粗度Rz0.1~0.2μの超仕上げにも余裕をもって対応する。研磨装置と母機一体型なので組み立ても不要。操作も簡単なので導入したその日から本格稼働ができる。



カスタマイズが可能な「HU100」 三井精機工業

ニーズに応じてカスタマイズが可能な本格的モジュールマシン「HU100」。
幅は小さいが高さがあるワークや、旋回径は大きいが加工範囲は狭いワークなどを加工する際、標準的なストローク構成の機械では無駄なストロークが発生してしまう場合があるが、「HU100」シリーズ横型マシニングセンタは顧客のニーズに最適な仕様で機械を構成することが可能だ。ニーズに合わせてXYZ軸ストロークの自由な組合せが可能なうえ、周辺機器も含め、特殊使用にも対応する。



工程集約型マシニングセンタ「MCH―330」 メクトロン

2ステージ・1スピンドル・工程集約型マシニングセンタ「MCH―330」。
この製品は1台でワーク6面を全加工し、完成品を得ることを目指し開発している。機械高さ1600㎜を実現した横型コンパクトマシニングセンタで、アルミダイカスト、押出し材等を効率よく全加工する小型・高効率マシンである。
シャドーローディング機能を有効活用する高速ローダは、非加工ステージにあるワークチャックに最短時間でアクセス。ローディング時間ゼロを可能にした。



次世代を支える「NTX2000」 森精機製作所

森精機製作所が展示していた高精度・高効率複合加工機「NTXシリーズ」は、熱変位対策、設置面積の従来機比約40%削減などを実現し、複雑形状の高精度、高能率加工が求められる医療機器や計測器などの小型精密部品加工に最適な複合加工機である。
同社独自のBMT(ビルトインモータ・タレット)技術の採用で、発熱や振動を最小限に抑制するとともに伝達効率を向上させ、切削能力、速度、面品位、精度を大幅に高めている。この技術は、①ミーリング切削能力の向上、②ミーリング加工精度の向上、③刃物台の発熱・振動を抑制、④エネルギーロスの削減――に貢献する。

高精度加工に「YBMVi40」 安田工業

高硬度・高面品位金型の高精度加工に卓越した能力を発揮する立型5軸制御機「YBMVi40」。Y軸に高剛性・高精度BC軸を搭載したこのマシンは、各軸移動体の質量差を極力小さくするとともに、質量の大きな移動体を低重心に設定することで、優れた制御性・減衰性を実現している。主軸とワーク、作業者と加工点をより接近させ、操作性、作業性ともに向上させた。骨格は剛性の高いシンメトリックな門型構造。一体化したブリッジ構造の高剛性ボディーが超高精度、重切削加工領域を極める。

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