あらゆる産業の生産工程で必要不可欠な工業用金網の広がる可能性 関西金網

松木義夫社長
松木義夫社長
「ふるい分け」、「ろ過」、「輸送」――――。
これらは決して目立つことはないが、様々な“モノ”がつくられる生産現場のプロセスで重要な役目を果たしている。
1935(昭和10)年の創業以来、工業用金網の専門メーカーとして、常に時代のニーズに応える製品を生産している関西金網(社長=松木義夫氏 本社:大阪市浪速区稲荷2-7-8)。
同社は最近、われわれの生活をより快適にする新しい網戸の概念、“防犯網戸”を展開し、窓を開けたまま安心エコ生活を実現する画期的な製品を世に送り出し注目されているが、日本でステンレス線が作られて間もない1938(昭和13)年に、その優れた耐蝕性に注目して金網の試作を始めたという、いわば金網業界の先駆者でもあるのだ。終戦後、アメリカからの情報を得て国産化に成功したワイヤコンベヤーベルトは、日本産業界の発展には欠かせないものになり、その後も優れた防振性能を持つステンレスマウントや自動車用エアバックシステムのガス発生装置用フィルターの開発など同社独自の製造技術は金網業界でも一目置かれている。

顧客の要望も多種多様。ニーズに即応できる業務システムが強み

同社では、国際化するビジネスに対応するため、米国、シンガポールに販売会社を持ち、タイに工業織金網を製造するSIAM WIRE NETTING CO.,LTDを設立し、製品は世界8ヶ国に出荷されている。2004年にはアジア、中国市場を視野に上海近郊の昆山にコンベヤー製造工場KANSAI WIRE NETTING TECHNOLOGY(KUNSHAN)CO.,LTDを設立し、常に時代の先取りを意識し、邁進している。

同社が徹底しているのは、顧客の現場に密着し、細部まで要望を聞くことだ。設計、納品、取付からアフターサービスに至るまで、きめ細やかなサービスを徹底している。
長年における技術の蓄積と同社独自の生産設備で多品種、高精度の製品を生み出しつつ、規格化された織金網も、なんと350パレットを収容できる立体自動倉庫に豊富に在庫しており、即納できる体制をとっているのだ。

振動ふるい機
振動ふるい機
さて、あらゆる産業で使用され製品の品質と大きな関わりを持つ工業用金網は実に多種多様である。

たとえば、製品の品質を上げるには、原料や半製品などを“ふるい分け”て、粒の大きさを揃えることが必要である。これには処理物の性質に適した金網を使用することが絶対条件になる。多くの種類の中から最適な金網を選定し、正確な網目の金網を製作しなければならない。

合成樹脂や化学繊維など「液体」を原料とする製品の品質向上にも“大きすぎるものを取り除く作業”が不可欠で、同社の金網、焼結金網、焼結金属繊維は、原料や製造工程での「ろ過」のほかに、液体輸送、整流、ガス抵抗、発砲、消音等の用途に幅広く利用されている。現在、航空機やロケットの燃料、オイルフィルターやエンジンの冷却、海中の酸素を取り入れる人工エラなどの最先端技術に活躍しているほか、自動車用エアバックシステムのインフレーター(ガス発生装置)に組み込まれるフィルターを同社独自の製造技術で製品化している。

ミクロン単位の金属繊維からなる不織布の焼結体「ベキポア」。一般の金網が表面ろ過であるのに対し、内部ろ過の構造をとる。
ミクロン単位の金属繊維からなる不織布の焼結体「ベキポア」。一般の金網が表面ろ過であるのに対し、内部ろ過の構造をとる。
高度な技術を必要とする金網はこれだけではない。ワイヤで、セーターを編むのと同じ方法で作られた金網のひとつに「ニットメッシュ」がある。これを何枚か重ねたものを「デミスター」と呼び、石油化学、製鉄化学、合成化学等のプラントで、液体中に含まれている不純物を取り除く。飛沫同伴による液滴や、微小ミスト、固体微粒のダストを除去するのに広く使われている

注目する点は、ステンレス硬質線でニットメッシュを編み、圧縮成形をした「ステンレスマウント」は同社が1978(昭和53)年に開発したことだろう。この製品の優位性は優れた弾力性と、ワイヤ同志の無数の摩擦によって振動を吸収する機能を持つことである。現在、各種産業機械の防振、原子力・火力発電所の配管のハンガーの防振、ロケットエンジンの防振部品や、自動車用エアーバックシステムの部品としても重宝されている。

同社では日本ではじめてワイヤコンベヤーベルトを製品化したが、独自の製造技術を用いて、顧客の用途に応じた最適のワイヤコンベヤーベルトとコンベヤー装置をフルオーダーメイドで製作している。

このように工業用金網といっても実に多種多様なのだ。

われわれの生活を快適にする技術がここにある

シロアリ駆除用の金網は非常に目が細かい
シロアリ駆除用の金網は非常に目が細かい
さて、資産としての価値を高めるものとして重要なものに住宅がある。住宅は大切な家族とかけがえのない時間を過ごし、身体を休めるための大切なものだ。
嫌な話だが、そんな大切なマイホームにシロアリがやってきたら・・・・と考えたことがあるだろうか。

シロアリはアリと呼ばれているが、実はアリの仲間ではない。ゴキブリに近い昆虫であり、樹木に含まれるセルロースを主な栄養源としている。ほとんどは地中から家屋に浸入し、セルロースを含む柱や土台を食いつぶす。北海道の一部を覗いてほぼ全国的に生息しているという。

ターミメッシュとイエシロアリ
ターミメッシュとイエシロアリ
近年、シックハウスなどの建材や防蟻薬剤による健康障害が社会的に問題になっている。有害な薬剤は微量であっても身体に蓄積されることで発病することがあり、有害な薬品を家屋にできるだけ使わないことが望ましい。

同社では、シロアリが通り抜けることができない網目を有する高品質のステンレスメッシュを家屋の侵入ポイントに隙間なく取り付ける「ターミメッシュシステム」を市場投入しており、好評を博している。
このシステムは有害な薬剤を使わないので、薬剤が揮発して健康に被害を与える心配もなく、しかもいったん取り付けると薬剤のような高価な再処理の必要もない。しかも特別に訓練を受け認定を受けた施工士による責任施工でステンレスメッシュは取り付けられるので安心だ。

防犯網戸を取り付けた家屋 外見的にもスッキリしている。
防犯網戸を取り付けた家屋 外見的にもスッキリしている。
ところで、ここ最近、“ナイフでもハンマーでも破れない網戸”「防犯網戸」が注目を浴び、話題になっている。もともとは、カンガルーが飛び込んでくるのを防ぐために作られた金属の網戸だったが、そこに新技術の窓枠などが加えられ、泥棒をシャットアウト。都会でもエアコンに頼らず、窓を開けっ放しで安心して眠ることができる。

省エネはもちろんのこと、冷房による健康被害も気にしなくてよい。風通しがよいので、カビ防止にもなるだろう。

先述のシロアリ駆除も含めて、金網技術で“エコと安全を確保する”・・・という画期的な発想はわれわれの暮らしを改善し、今後日本の住宅に嬉しい変化をもたらすに違いない。

松木社長は、「今後も積極・堅実をモットーにあらゆる可能性にチャレンジしていく」としている。