工作機械技術振興財団 「第46回工作機械技術振興賞」贈賞式開く


工作機械技術振興財団(理事長=安達俊雄氏)が、去る6月17日、第一ホテル東京(東京都港区新橋)で「工作機械技術振興賞」授賞式、講演会および技術交流会を開催した。同財団は学術および科学技術の振興を目的として、牧野フライス製作所の創業者である牧野常造氏らの寄付により、1979年7月17日通商産業(現経済産業)大臣の許可を得て設立されたもので、2012年4月20日、内閣総理大臣から公益法人への移行認定を受け、公益財団法人工作機械技術振興財団となった。
今回は論文賞5題19名、奨励賞5題20名の合計10題30名が受賞した。試験研究助について今年度は研究助成A(一般研究者)が6件、研究助成B(学生)が3件、プロジェクト研究が3件の合計12件のテーマが助成された。なお、人材育成賞について今年は表彰年に当たるが審査を通過した案件がなかった。
安達理事長あいさつの中で、「今回の贈賞によりこれまで40数年にわたって贈賞してきた工作機械技術振興賞の累計は、論文賞、奨励賞及び隔年に贈賞している人材育成賞を合わせて714件2583年に達している。試験研究助成については比較的歴史の浅い特別試験研究助成の20件を含め、累計322件となった。財団事業は地道な活動だが、工作技術の進歩向上に着実に寄与してきたものと考えている。財団を取り巻く環境、わが国経済を取り巻く環境は大きな変化の時代を迎えているが、継続は力なりの信念のもとで、財団として引き続き社会貢献を着実に果たしていきたい。」と意気込みを示した。
続いて伊東 誼審査委員長が審査報告を行ったあと、試験研究助成の紹介が行われた。

来賓を代表して、経済産業省の須賀千鶴 産業機械課長があいさつをした。この中で須賀産業機械課長は、「工作機械産業は、生活用品から航空宇宙の分野に至るまで幅広い製品の生産に不可欠な製造業の基盤である。GXの観点では、工作機械そのものの省エネ化に加えまして、例えば自動車のEV化に伴う加工精度の高度化や難削材加工の実現、DXの観点では、工作機械の複合化や自動化、機上計測による自動補正、工作機械と周辺機器のデータ連携など、製造業での新たな価値や市場ニーズへの対応も期待をされている。皆様の取り組みが、工作機械産業の将来にわたっての競争力の強化に資するものであり、今回の受賞を1つのステップとして、業界の発展をさらに牽引していただくこと期待をしている。」と製塩を送った。

講演会は、岡山大学大学環境生命自然科学学域 岡田晃教授が「加工液フラッシング最適化によるワイヤ放電加工特性の向上」を、栃木県産業労働観光部 稲沢勝史氏が「3Dプリンタを用いた砥石製作システムの構築」(*本来は茨城大学大学院理工学研究科 吉田凛太朗氏が予定だったが、東北新幹線を走行中の回送列車で車両故障が発生したため稲沢氏が行った)をテーマにそれぞれ講演を行った。
技術交流会は、武沢英樹 電気加工学会会長の乾杯の発声で開宴し、参加者は交流を深めた。