「有益な価値創造へ」 ~ナガセインテグレックス 長瀬社長に聞く~

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 ナガセインテグレックス(社長=長瀬幸泰氏 本社:岐阜県関市武芸川町跡部)は、社内で開発された要素技術を顧客のニーズと効果的に融合させ、最も“有益な一台”を提供するため日々、技術開発に注力している。

 昨年は、日刊工業新聞社主催の機械分野において優れた機能美と性能を併せ持つ製品を表彰する「第53回機械工業デザイン賞IDEA」にて、高精度門型平面研削盤 『SGX-126・168B(S)L2D-Neo3』が日本デザイン学会賞を受賞した。また、砥石をAI観察にて不具合を予測するAI砥面観察システム『GRIDE EYE』でも大反響を起こしている。長瀬社長が考える超越した精密加工を実現するマシンとは――――? 同社を訪ね、お話しを伺った。


絶対品質を実現するために

 近年、少子高齢化に伴う労働人口の減少から加工現場では人手不足を解決するため、非熟練者でも再現性が高く、自動化や省人化が可能な研削加工が求められている。長瀬社長が、物理・科学を追求し、〝絶対品質〟を実現するために最も重要視していることは、「従来は特別と思われるような加工品質を誰もが繰り返し再現できる技術へと高めること。そして、加工を通じて新たな有益な価値を創造すること」だという。

 それを実現するには、長年培われてきた技能や経験に加え、同社が提唱する超精密機上計測自動加工を可能にする超精密マシンの10大特性がある。10大特性とは、〈3大運動特性=①超直線運動(連続と断続) ②超回転運動(連続と断続) ③超同期運動(連続と断続)、6大特性=④剛性、⑤温度特性、⑥振動特性、⑦制御特性、⑧操作性、⑨耐久性、と⑩高いS/N比〉だ。
 

▼この動画を見て頂きたい▼
https://player.vimeo.com/video/907714282

 ワーク保持部に、ただ置いただけの10円玉が倒れないし、転がらないではないか(後ろで砥石も回転している)。もちろんこの10円玉に接着剤は付いておらず、インチキはない。

 この驚く動画について長瀬社長は、「10円玉が倒れないよう6軸の運動要素に対し振動やブレやヨレが最小の高速運動ができます。真直性の高い案内面構造、低振動かつヨレのない駆動方法、マシン全体の動剛性などによる絶対運動特性と繰り返し再現性、振動抑制技術などこれらのマシン特性を加工結果に転写できれば〝超越精密加工〟が確立し、従来にない幾何精度と加工品位が実現できるのです。これらの技術を盛り込んだマシンを含む加工の10大要素を活用すれば、お客様が加工を通して有益な価値と市場の創造につながると確信しています。」と話す。

 一般的には精度の高い極上の面品位を求めると、加工能率は落ちるとされている。これは、同社の『SGD-406』にて、加工能率4倍で加工をした時のマグネットセパレータの様子だ。

▼マグネットセパレータ動画▼
https://player.vimeo.com/video/907715711

 

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SGD-406

 布のように見えるのはなんと切りくずである。このSGDシリーズは、同社推奨の『IGTARP(イグタープ)デザイン』を採用し、トポロジー最適化や形状最適化を駆使し、「理想的な構造を実現した超精密研削盤の開発」のテーマで2021年度の精密工学会技術賞を受賞している。

 

 

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