「限りない技術革新への挑戦!」 イスラエルのイスカル本社でファーストクラスディーラーと関係ユーザーを対象にセミナーを開催(後編)

 

日本の工作機械が大活躍していた工場内 ~VRも体験~

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顧客のニーズに合わせた特殊ホルダーやカッターなど得意とし注力している

 

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製造工場内部

 秘密のベールに包まれた製造工場内を見学した。ここでは携帯・スマホは使えない。社員も携帯を預けて工場内で仕事をしている。ホルダーやカッターなどを製造する工場では、日本製の工作機械が大活躍しており、黄色のフロアに工作機械がきれいに配置されている光景は圧巻であった。と同時に人の数は明らかに少ない。想像以上に自動化が進んでいることに参加者一同、驚きを隠せなかった。

 

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今年1月から稼働の最先端物流センター

 また、自社開発の工具管理キャビネット『MATRIX(マトリックス)』もズラリとならんでいた。『MATRIX』は工具管理に費やす手間と時間を最小限に抑えて工具を管理できる製品である。この製品の設計やデザイン、ソフトウエアの開発、管理、メンテ、アップグレードなどは全て同社のIT部門で執り行っており、工具メーカーが独自で開発やメンテナンスを行っているので安心感もひとしおだ。

 

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直接エンジニアに質問できる機会が設けられた

 別の製造工場にて、焼結されたチップがコーティング工程に向かう場面を見学したが、画期的だったのはコーティング前の準備工程のチップ〝自動刺し替え機〟である。焼結が終わったチップを串に刺し替えて炉に入れる準備をしている。ここまで自動化が進んでいるとは!

 顧客のニーズに合わせた特殊ホルダーやカッターなども、イスカル社が得意とし注力しているポイントだ。特殊工具は、大量生産ができずメーカーにとっては効率が悪いものだが、「顧客ニーズの吸い上げに重要な要素が含まれている。」と同社。特殊工具から新製品へ発展する場合もあるとのことだった。

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真剣そのもの

 「製品の拡販を協力してくれる皆様には特殊工具のニーズを検討していただき、顧客の要望に合致したものを提案して頂きたい。日本ではステアリングナックル用の加工を1つの複合工具にて一発ワンカットで実現できるものも提案した。」と、FCDおよびその関係ユーザーに力強さを示した。ここでは自動車産業向けの特殊工具がズラリと展示されていたのが印象的だった。

 常に高性能かつ高品質な製品を市場に供給していると自負しているイスカル社。その理由は自動検査機にあった。全て同社のエンジニアによって開発され、プログラミングされたものだ。自動でチップR部の不良がないかマスターの写真と照らし合わせて比較していた。加えてパッケージングも人の手は介されておらず、工場内の自動化は圧倒的に進んでいた。

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CNCマシニングセンタ内部を体験できる360°動画を提供

 会場を移してバーチャルリアリティー(VR)を活用したデモも非常に興味深かった。同社ではVRを活用したセミナーや教育、製品紹介などを積極的に展開する方針を示しており、筆者もバーチャルの世界で工作機械の中に入り、切削加工を見ることを体験した。迫力ある切りくずが恐ろしい。VRヘッドセットを装着すれば、生身の人間が現実には体験できない不思議な世界が広がる。参加者一同、これには驚きを隠せない様子だった。VRヘッドセットを装着したまま、驚きのあまり足がすくむ人も多発し、慣れてくると画面を切り替えているのか、空間に押しボタンがあるような仕草をしていた。また、この会場内では、イスカル社の画期的な工具が豊富に展示されており、エンジニアに直接質問ができる貴重な機会が設けられ、活気に溢れていた。

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