【年頭所感】(日本工作機器工業会/日本精密機械工業会/日本フルードパワー工業会/日本工作機械輸入協会)

「連携を深めることが重要」
■日本工作機器工業会 会長 寺町彰博

230101機器会長 あけましておめでとうございます。    
 年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

 昨年の世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下において、中国を除く多くの国で行動制限が緩和される中、持ち直しの動きが続きました。一方、ウクライナ情勢をはじめとする地政学的リスクの拡大や、新型コロナウイルス感染症の影響を完全に払拭できない事などにより、世界では物価上昇が進み、それに対して大半の地域において金融引き締めが行われるなど、先行きに対する不透明感がさらに増すこととなりました。日本においては第7波の到来後、水際対策の緩和や感染者数の全数把握の見直しなど、欧米に遅れをとっていた経済活動を正常化させる方向へと向かいました。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、通常であれば5年程度かけて起きる変革を一気にもたらしています。例えば、リモートワーク・オンライン学習の広がりによる半導体関連の需要の拡大、非対面のニーズの高まりによる自動化関連の需要の裾野の拡大、そして環境面では自動車業界におけるEV化へのシフトなど、私たちの事業を取り巻く環境に劇的な変化をもたらすとともに、ビジネスチャンスは大きく拡大しています。

 そのような中、生産財から消費財まで様々な分野において「見える化」や「自動化」が進み、機械装置だけでなく、それを構成する部品やツールなどにも高品質で壊れないことがますます求められています。このような私たちの「強み」を磨き上げるのみならず、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進め、個の力として終わらせることなく相互の連携を深めることが重要と考えます。

 さらに、これからのキーワードは、”コネクティッド”、“オートノマス”と思います。私たちは機械・装置メーカーに従属はしていますが、その機能のデータは保持できますし、それを最適に提示できるものと思います。従いまして、製品を磨き上げるとともに、見える化、数値化をして情報を活用し、あわせてサービスを提供することを考えなければならないでしょう。

 当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、産官学と連携し、個別企業毎の連携や、コネクティッド、オートノマス、そして海外マーケットに対応する支援を強化してまいる所存です。
 
 最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

「景気好循環に向けたスタートの年に」
■日本精密機械工業会 会長 髙松喜与志

230101精密機械会長 皆さん、明けましておめでとうございます。

 昨年は、コロナで始まり、ロシアのウクライナ侵攻、米国の急速な金融引き締め、中国のゼロコロナ政策の継続等々、これらにより日本は円安、資材の高騰、半導体や輸入部材の不足などにより経済への影響はとても大きいものでした。

 この様な中でも私は、景気マインドは悪くない様に感じます。住宅着工件数を見ると坪単価が上がっている中でも落ち込みはない様に見えますし、自動車は半導体部品等の不足により生産台数は減っていますが、受注状況はとても良いと思います。人気車種では発注から納車まで1〜2年以上待つ事もあると聞いています。人流についても多くなっている様に感じます。昨年11月末に東京へ行きましたが、北陸新幹線は満員で外国人も多く、ホテル料金もコロナ以前の金額に戻っているようでした。昨年は大変な環境の中でも、我々日本人は頑張った年であったと思います。

 そして今年ですが、景気を予測する事は出来ませんが、私自身どの様な心構えでこの一年を乗り切って行くのか考えてみました。今年、私は古希になります。老人ですが、昨年末いつものルーチンになっている行動を少し変えてみました。いつもと違う行動をする事で新しい物が見えました。そして新しい感動も得ることが出来ました。そう、老人は感動しないのでは無く、新しい事をしないから感動が得られないのだと思いました。

 会社経営も同じ事では無いでしょうか。 壁に突き当たった時、いくら考えても突破出来ない時は、違った角度から見てみる。また違った行動をして見る。そうする事によって見えて来る物があるのではないでしょうか。 

 今年はコロナの制約がなく行動が出来るようになって来ました。自分の肌で色々な物を感じる事が出来る年なので、たくさん行動して新しい物を見て行きたいです。アフターコロナで個々人の溜まっていた欲求が消費行動となり、景気の好循環がスタートしていく年になる様に願っています。

 本年も皆様にとってより良い一年となりますように心からお祈り申し上げまして、新年のご挨拶といたします。

「カーボンニュートラルの社会的ニーズに対応」
■日本フルードパワー工業会 会長 梶本一典

230101フルパ会長 新年あけましておめでとうございます。

 さて、振り返りますと、数年前までは、世界経済は一層グローバル化が進むと言われ、企業は、その環境下のもとで物流を考え最適地生産をどう構築していくのかという視点で活動してきました。しかしながら、顕在化してきた米中貿易摩擦は、関税引き上げから、半導体や5G等の通信分野に代表されるハイテク分野での輸出規制に発展し、更に価値観を共有する国々を巻き込んだ「経済安全保障」という概念が出てきております。このあたりを十分認識して事業を行っていくことが大切になってきたと思います。

 また、2年前に勃発したロシアのウクライナ侵攻によって、エネルギーや各種部材の品薄、価格高騰に悩まされ、受注があっても物を作れないといった企業経営に大きな影響が出ております。

 このように、エネルギーや各種部材の品薄、価格高騰に加え、世界的な貿易管理の考え方が変わる中、CO2削減に向けたカーボンニュートラルの実現への社会的要求も強まり、企業活動に様々な制約が出てきております。

 このような中においても、当業界を見ますと、昨年の油圧機器・空気圧機器の売上は、対前年比約5%ほどアップし、全体で約1兆円となりました。今年も、引き続き厳しい経営環境になると思われますが、工業会としては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けて、IoTの活用方法の研究や若手技術者の育成活動に加え、カーボンニュートラル関連の事業も進めていく所存です。

 最後になりましたが、フルードパワー産業の発展と関連業界、そして我が国産業の更なる発展を祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

「日本の再生をかけたチャレンジの年」
■日本工作機械輸入協会 会長 井元英裕

230101輸入会長 2022年はコロナの蔓延が定期的にはあるものの、弱毒化したのか重傷者も減り、皆がそれほどコロナを恐れなくなり、ウイズコロナが定着したように思えます。それに伴い、JIMTOFがリアルに開催され、中国を除く海外との交流も再開し、長くWEBでのコミュニケーションに終始していた我々にリアルなコミュニケーションの価値を再確認させてくれました。

 2023年は中国経済後退の問題に加えて、円安、エネルギーの高騰を受けた物価の上昇が継続し、それに応じて人件費も上がってくるのではないかと思われます。

 私自身、3年ぶりの米国出張にて物価高、人件費の高さを知り、日本経済が長く海外と成長の歩調を合わせてきていなかった事を痛感させられました。

 日本はバブル崩壊後長く続いたデフレ経済のため、人件費を抑えてやり繰りすることが出来てしまったことで、新たな収益性の高いビジネスへの変換とかコスト削減を
飛躍的な合理化で行うなど、変える努力を怠ってきたのかもしれません。

 この問題の打開には、物作りを再び日本に呼び込むことが良いのではないかと
思いますが、ただ安い人件費、コストという事ではなく、革新的な物作りの創出などのチャレンジが必要である事は言うまでもありません。

 2023年はそんな、日本のチャレンジの年となるのではないかと思います。


 

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