世界中の産業界に寄与するタンガロイを知る(前編) ~木下社長に聞く~

221107タンガロイ木下社長

 

 グローバル企業のタンガロイ(社長:木下 聡 氏、本社:福島県いわき市好間工業団地1-1)は、1934年の創業以来、超硬合金の先駆者として切削工具を主体に世界の金属加工現場に貢献してきた。近年では、目まぐるしく変化する製造現場のニーズに対し、研究開発を加速させ、マーケティングや販売に至るまできめ細やかなサービスの充実を図っている。同社の高い技術力に裏付けられた品質はタンガロイブランドの安心感を際立たせ、最近では環境調和型商品の開発や商品リサククルなど環境保全活動にも注力している。

 世界の産業界の発展に寄与する同社の取り組みについて、前編は木下社長に、後編を松本憲幸営業本部長のインタビューを掲載する。

スピードは重要な競争力

221107top1 ―貴社はグローバル企業です。国内外を含め、事業競争力について注力していることを教えてください。
 木下
 世界規模で共通していることは、〝良いものを良い品質でつくりサービスをする〟ことです。開発に関しては、国内・海外という分け方はせず、グローバルな開発をして加工能率が上がる製品を常に他社より多く開発し市場に提供することを心がけています。
 ―昨年は国内外を含め、切削工具業界では欠品があったようですが、貴社はいかがでしたか。
 木下
 弊社は設備投資にも注力しており、欠品がありませんでした。製造業として品物をタイムリーにお届けするためには、お客様の欲しい品物がない状態をなくすことが必要です。短期的に世界中の在庫を移動させることもしましたが、基本的には需要に応じた設備投資をして、商品が不足することをなくすようにしています。
 ―木下社長は以前から日本の品質にこだわりがあります。そのお考えにお変わりはありませんか。
 木下
 メイド・イン・ジャパンの品質でつくるというこだわりは変わりません。世界中のお客様から、「タンガロイの品質がすごく良い。」と高い評価を頂いているからには、品質を落とさずにものをつくり続けることを意識しています。
 ―貴社は開発や製造のみならず、インフォメーションにも注力している印象を受けます。最近では親しみやすいイメージも強くなってきました。
 木下
 新しい商品が出たら認知されることが必要です。マーケティング部門ではSNSやyoutubeなどのデジタルツールを活用し、インターネットを経由した情報でより多くの皆様とつながり、価値ある情報と商品をお届けできるよう注力しています。お客様のニーズが多様化している時代だからこそ、そのご要望にお応えできるよう、マーケティング、研究開発、製造、販売のシナジー効果を発揮し、〝スピードは重要な競争力〟という考えのもと、市場の変化にスピーディに対応していく努力をしています。

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増設した新棟外観

 ―先ほど、設備投資をされているとおっしゃいました。現在、本社工場に新棟を増設(取材時)され、完成間近ですが、この狙いは。
 木下
 旺盛な需要に対応することもありますが、2011年に発生した3.11(東日本大震災)時は建物も被害に遭い、工場が約1カ月も止まってしまいました。メーカーとしての供給責任を果たすためには、災害があっても建物に被害が及ばないようにしなければなりません。また、効率を上げるためにロボットを導入して自動化を図ります。どんな状況下でも操業を継続し、安定供給を実行することが狙いです。
 ―貴社は安定供給という点で現在、高い評価を得ています。
 木下
 弊社はお客様が希望する商品をいつ配達できたか、納期どおりにできたか、などのデータを毎日集計します。標準品は97%が目標ですが、継続して達成しています。

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