牧野フライス精機 清水社長に聞く 「継続して存続することが発展の鍵」

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 工具研削盤の開発・製造・販売・アフターサービスを手がける牧野フライス精機(社長=清水大介氏、本社:神奈川県愛甲郡愛川町)。同社の工具研削盤の歴史は、万能工具研削盤『C-40』からはじまる。長年愛され続けているこのマシンは、「歴史的価値のある工作機械(ロングライフ・ベストセラー)」にも選ばれており、50年以上経った今なお作り続けている。また、1982年には世界初10軸制御CNC工具研削盤を開発、現在、工具の溝、外周、底刃までの全工程を行う〝ワンチャック全加工機〟と言われるものから工程を限定させた工具研削盤、太径工具から極小径工具対応の工具研削盤など多様なマシンを生産している。ここまで幅広い製品ラインナップを揃えている工具研削盤メーカーは世界中を探してもないだろう。

 常に時代の要求に応えながら進化している同社。清水社長にお話しを伺うとともに工場内を見学した。

「良い機械だね。本当に選んで良かった」と言って頂けるマシンを目指して

220221牧野精機オフィス
広々としたオフィス内

 ―長年愛されるロングセラー機から最先端マシンまで豊富な機種を提供し、2019年には本社新工場を竣工し生産能力をアップさせました。清水社長の経営方針をお聞かせください。

 清水 まず、会社が継続して存続し続けることが第一だと考えています。企業は存続しなければ発展は望めません。そのためには、①ダントツの生産力、②価格競争回避、③最適なサポート体制、④健全な財務体質、この4本の杭を会社という土台にしっかり打っていくことを考えています。

 ―世界的にみても工具研削盤メーカーは数が少ないように思います。価格競争を回避してマシンを売るにはなにが重要だと感じていますか。

 清水 非上場企業も多いので正確な情報は分からないこともありますが、国内外含めて工具研削盤メーカーは少ないと思います。人件費など諸々の費用が高い日本に拠点を持つ規模の小さい弊社が価格競争で勝負をしていこうとしたら、良い結果にはならないことが目に見えています。もし、弊社が中国に進出してスケール勝負をしていく選択をしたならば、10年後、20年後にお客様に感謝されることはないでしょう。工具研削盤は非常に長く使って頂くものです。昔の汎用機でも50年60年、NC機でも20年30年と長く愛用してくださるお客様もいらっしゃる中において、重要なことは会社が存続し続けていくことです。

 ―お客様に価格以上の価値を提供するということなのですね。

 清水 長くご活用していただくための機械は、価格ではなくて付加価値で選んで頂けるものだと感じています。お客様から10年20年後に「良い機械だね。本当に選んで良かったよ」と言って頂けるものづくりを志向しています。スケールで安価なマシンづくりといった開発の方向性ではないのです。また、強みのひとつである生産力ですが、生産力というのは早くつくることだけではなく、〝品質の良いつくり込み〟も含めての生産力であり、これらが付加価値となって差別化の源泉となっています。

 220221清水社長3―コロナ禍も長くなりましたが、社内に変化はありましたか。

 清水 展示会なども中止となり、PRの場が激減したことを受け、早い段階でオンラインでの取り組みに注力しました。

 ―オンラインセミナーは定期的に実行され、評判も高かったです。

 清水 他社様と一緒にコラボレーションをさせて頂きながら行ったセミナーは非常に活況であり、今後も有効であると考えています。

 ―アフターコロナに向けてのお考えは。

 清水 昨年名古屋で開催されたメカトロテックジャパンでは、久々にリアルの展示会でしたが、直接マシンを見学して頂けることはとても大切なことだと実感しました。オンラインの良さ、リアルの良さ、それぞれありますから、今後は平行していこうと社内では決定をしています。

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