三菱マテリアル筑波製作所は世界最強を誇るインサート製造拠点!  

三菱マテリアル筑波製作所は予てより増産を進めていた新棟のインサート量産ラインが完成し、このほど増産体制が整った。1月24日には『筑波製作所新棟見学会並びに賀詞交歓会』が開催され、多数の代理店や関係者が足を運んだ。

三菱マテリアル筑波製作所の最大の特長は、超硬工具の中でも主力であるインサート製品を中心に生産していることだ。最先端の切削工具用材料やミーリング工具、ターニング工具などの開発と並行して、安定供給のための生産技術や生産システムを構築している。筑波製作所内に在籍している人材の40%が生産技術と開発を担当し、原料から一貫して開発できる強みを活かし、他社との差別化を図っている。

最先端の生産技術で品質・納期・コストで差別化する体制

宮東勝利筑波製作所所長
宮東勝利筑波製作所所長
宮東勝利筑波製作所所長が新棟見学に先立ち、「昨年の筑波製作所は、東日本大震災とタイの洪水の災害で供給能力を低下させてしまった。誠に申し訳ありませんでした。タイの工場には一部復旧途中ではありますが、昨年末より筑波製作所は新工場を稼働させました。今年は正常な供給体制を構築できるよう筑波製作所総力をあげて取り組む所存です」とあいさつをし、筑波製作所並びに新棟の概要を説明した。

工場内は秘密事項も多く写真でお見せできないのが残念だが、リードタイム短縮への取り組みとして、原料⇒プレス⇒焼結⇒コーティング⇒検査―――を緻密で最適な生産指示の自動化を図っている。

昨年、筑波製作所を襲った東日本大震災だが、ガスを使うCVD(化学蒸着法)コーティング工程にある配管の脱落、研削盤の転倒や150tの防火扉が倒れたりと被害も相当なものだった。幸い人的被害はゼロだったが、この震災をきっかけにして、①自動避難指示システム、②配管破損システム、③緊急停止システムを改善した。感震器を3台設置し、2台以上の作動で停止信号を出力する。また、タイの洪水被害では、インサート工場の2Fは被害がなかったものの、1Fは水没。万能研削盤も水の中となったが、電力・水・空気は復旧を急ぎ、その甲斐あって12月には復旧している。これも万が一同じような災害が起きても対処できるよう、1F部の床を底上げした。なお、タイの工場は本年6月を目途に100%稼働する。

上:インサート旋削加工使用例 下:インサートCVDコーティング開発
上:インサート旋削加工使用例 下:インサートCVDコーティング開発
新工場は空調コストを下げる取り組みのひとつに緑を多くしている。最終力はM級(上下面を加工したもの)コーティングインサートに特化し、ライン単位で設備能力を強化している。一気通貫の自動生産ラインは最先端の生産技術が詰まっており、品質・納期・コスト面で差別化する体制だ。なお、筑波製作所内では、不具合が起きても早急にメンテができるよう社員の技能試験を実施している。

新工場は、「独自技術を盛り込んだ最先端の生産設備でリードタイム1週間」を掲げており、世界最高水準の材料製造技術と工具形状加工技術で顧客のニーズに合った商品を提供し、環境に配慮したものづくりができる「クリーンな製作所」を目指すとしている。

「ビジョン2020」を掲げ、国内外で設備投資を加速! 

増田照彦三菱マテリアル執行役員加工事業カンパニーバイスプレジデント・超硬製品事業部長
増田照彦三菱マテリアル執行役員加工事業カンパニーバイスプレジデント・超硬製品事業部長
場所を移動して都内に戻り、ホテルラフォーレ東京で賀詞交歓会が開催された。
冒頭、増田照彦三菱マテリアル執行役員加工事業カンパニーバイスプレジデント・超硬製品事業部長が日頃の感謝を表したあと、「一難去ってまた一難という言葉がありますが、一難が去ってもいないのにまた一難が降りかかって来た。まさに踏んだり蹴ったり、あるいは泣きっ面に蜂・・という2011年でした。それも去年のことになりまして、新しい年を迎えることができました。今回起きたこの出来事は風化しないよう自戒しております。在庫の持ち方、生産するための投資の仕方等々、工夫を凝らして考えなければならないと昨年は考えさせられる1年だった。このような状況下で皆様方に供給できる能力が極めて少なくなってしまいたが、私たちの事業をここまで育ててくれたのは日本の市場であるという当たり前のことに気が付きました。今回、拡大路線をいっている中国市場や東南アジアへの市場への供給を縮小して、物流を日本に向けさせていただきました。お客様のラインの稼働を繋げていただけたのは、本日お集まりの代理店様の在庫量と営業力、ネットワーク力、その総合力で助けて頂いたとこの場を借りまして改めて御礼を申し上げます。本日、見学していただいたラインですが、これで終わりではなく、今後もこのようなラインを増やしていきたい。世界でいうと、スペイン、中国、インドネシア、タイ、国内では筑波、岐阜、明石、広島、秋田に設備投資を加速していきたい。われわれは2020年を睨み供給力、マーケティング、情報インフラ、人材等を真剣に考えて実行しようと“ビジョン2020”というプログラムを組んでいます」とあいさつをした。

続いて代理店を代表して三橋誠テヅカ社長があいさつをした。この中で三橋社長は、「昨年の東日本大震災で被災を受けた筑波の工場が立派に復旧復興されました。被災に遭われた当初は、皆さん不眠不休で復旧の努力をされたと聞いております。この筑波の工場に関しましては従来以上の生産能力を誇るようになりました。これは希望の光でもあります。これから出て来る新製品とともに期待したいと思っています。タイの工場が水害に遭われ、ドリル、エンドミル、チップ、またはろう付けの製品等が出荷できないという事態になりましたが、これも元に戻るということで安心しております」と述べ、乾杯の発声を行った。

滝沢俊夫三菱マテリアルツールズ社長
滝沢俊夫三菱マテリアルツールズ社長
宴たけなわの頃、滝沢俊夫三菱マテリアルツールズ社長が、「昨年は東日本大震災、タイの洪水と自然災害に見舞われ、私どもにとっても大変な1年になりました。ここにお集まりの代理店の皆さまには、欠品あるいは納期遅れ等、大変ご迷惑とご心配をおかけしました。深くお詫び申し上げます。また、代理店とお客様の強い絆と繋がりを垣間見ることができました。このお力により、私どもの製品のシェアダウンを最小限に抑えることができました。この場を借りて厚く御礼を申し上げます。タイでの洪水の影響が若干残りますが、今年こそは本来の三菱らしい姿をお見せするよう頑張ります。今年秋にはJIMTOFがあります。しっかりと新製品をPRして販売していきたいと思っており、現在その準備をしているところです。いずれにせよ、今年こそ“さすがは三菱”と言われるよう、製販一体となり頑張っていく所存です」と謝辞を述べ、鈴木通正ユアサ商事専務取締役工業マーケット事業本部長の中締めで散会した。

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