「デジタルソリューションで高効率を目指す」サンドビック株式会社 山本社長に聞く

 

自動化・省人化が避けられない時代。デジタルマシニングソリューション『CoroPlus®(コロプラス)』で加工の簡略化を!

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機械加工の領域だけでなく、前後の工程も含めて包括的にデジタル技術で加工現場を支える。

 ―具体的にはどういったものがありますか。
 山本 デジタルマシニングソリューション『CoroPlus®(コロプラス)』は、機械加工の領域のみでなく、前後の工程も含めて包括的にデジタル技術でお手伝いすることを目指しています。機械加工前段階では3種類のソリューションがあり、一つ目は『CoroPlus®ツールガイド』で、切削工具の選定作業を簡略化し、加工に最適な工具を短時間で簡単に選定できるソフトです。加工の内容を指定し、加工の寸法を入力し、被削材情報と機械タイプを選択することで、加工に適した推奨工具の形番や切削条件を得ることができます。昔のように分厚いカタログのページを見ながら時間をかけて工具を探す必要がありません。二つ目は、コンピュータ上で切削工具の三次元モデルアセンブリを組むことができるソフトウェア『CoroPlus®ツールライブラリ』。出来上がった三次元モデルはCAMソフトでツールパスの作成や干渉チェック等に活用できます。三つ目は、特殊な工具の動きを要する工具向け専用ツールパス作成ソフト『CoroPlus®ツールパス』で、現在、①PrimeTurning™(プライムターニング)+ねじ切り旋削、②SpiroGrooving™(スパイログルービング)、③InvoMilling®(インボミリング)があります。加工段階においても3つの製品を提供しており、防振工具内部にセンサーを内蔵し、加工中の振動状態をリアルタイムでモニタリングする『Silent Tools™プラス』、工作機械にセンサーを付加することで加工のモニタリングを可能にする『CoroPlus®プロセスコントロール』、回転工具ホルダ内部にセンサーを内蔵しホルダ内部の振動をモニターすることで適切なメンテナンスを可能にする『Coromant Capto® 回転ホルダプラス』(来年発売予定)があります。
 ―これらを活用するメリットについて教えてください。
 山本 加工の簡略化です。ものづくりにおける効率を上げるお手伝いをわれわれのデジタルソリューションで提供していこうというところが大きなポイントです。省人化や自動化が進むこの時代に、お客様がものづくりにおいて効率を上げ、付加価値を得て、経済効果と品質を同時に高めていただくことが狙いです。われわれの工具はプレミアムな製品ですが、さらに時代に即した〝デジタル〟という価値を付加することで、加工に新たなイノベーションが生まれます。われわれが目指しているのは製造分野における総合ソリューションプロバイダーですから、これからもきめ細かく、お客様の加工に対して包括的に貢献してまいります。
 ―省人化・自動化は避けられない流れになってきました。
 山本 人材不足は明らかに起こっています。製造現場では人材不足を回避するため省人化・自動化が加速していく一方で、若い方にどれだけ製造業に興味を持っていただけるかという点も、われわれは考えていかなければなりません。良い人材を確保するためには、若い世代の皆さんが興味を持っていただけるような魅力的な製品も開発していかないと将来、人材を確保することがおそらく益々難しくなるでしょう。現在、インターネットの発展とともに、新たな産業が生まれている中で、若い人たちは新しい産業のほうに目が行きがちですが、われわれも、ものづくりに携わるメーカーとして、新たな魅力を発信していかないと、なかなか生き残ることが難しいと感じています。今の時代、経済効果を高めるためには商品をできるだけ安価で素早くつくらなければなりません。そのためには、時代に即した設備を投入しつつ、人的資源に関して、全く違うところに当てていくというようにしないと、なかなか企業としては持続していくのも難しくなってくるでしょうね。


新しい時代に合致した新しい働き方を推進! アルミ加工分野にも注力! 

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正面フライスカッター「M5B90」は安定したバリ発生のない加工が可能。

 ―貴社は社員教育も徹底していると聞いております。
 山本 従業員も、お客様に対して付加価値を提供し、喜んでいただく、というアプローチが必要になりますが、そのためにはものづくりが分かっていないと理解いただけないでしょうから、〝付加価値とはなんぞや〟と、社内教育を徹底的に行っております。リモートワークも増加しましたので、インターネットでトレーニングが受けられるトレーニング・コンテンツを持つサービスとも提携しました。例えばリモートワークで通勤時間が不要になったので、その時間を自己啓発に使ってもらうためトレーニングサービスを社内で提供しています。やはり、自分自身の競争力、知識を含めてスキルを上げておかないと、時代に追い付いていくのが難しくなるというリスクがあります。社員が自発的に研鑽できるよう環境を整えていくのも私の役目であり、現在、大きなキーワードにもなっている〝持続可能な企業〟を目指すためにはデジタルソリューションが大きな鍵を握ります。新しい時代に合った新しい働き方を社員に推進していきたいと思っています。
 ―現在、注力している分野は?
 山本 自動車は電動化・軽量化が進んでいます。自動車のものづくりにおいて貢献できるよう工具の開発を行っています。年々需要が増えているアルミ加工にも注力し、アルミ用カッターなど市場に提供していきます。

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刃数は多くなく、そのうちの1つはワイパー。このワイパーチップがその他のチップに作用し、高い送り速度でも常に優れた加工面品質を実現する。

 ―アルミ分野で攻めていくといったところでしょうか。
 山本 この分野で攻めていく姿勢です。当社の製品は高価ですが、加工をトータルに考えたときには、どれだけ効率よくモノをつくって利益を出したか、という点が重要です。加工における全体的な費用のうち工具にかかる費用は僅かですから、経済効果を高め、利益を確保するためのノウハウを提供していきたいと思っています。
 ―読者にメッセージをお願いいたします。
 山本 今まで、サンドビックは工具メーカーというイメージだったと思います。もちろん工具分野はコアですが、今後のサンドビック・コロマントはものづくり分野の全てのプロセスにおいて、トータルソリューションを提供できるメーカーでありたいと願っています。当社にご用命いただければ、製造現場において高い生産性と高い品質を実現しながら、時代に即した利益確保のノウハウをご提供いたします。また、現在、工作機械メーカーとデジタル加工分野で密に連携をしており、グローバルに展開しています。サンドビック・コロマントが第二創生期を迎えるような心境で、工具メーカーから、ものづくりのソリューションプロバイダーに変貌していくところをご期待ください。
 ―ありがとうございました。

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