「2020年度機械工業生産額見通し調査」まとまる ―日本機械工業連合会―

 このほど日本機械工業連合会がまとめた2020年度機械工業生産額見通し調査は以下の通り。

 わが国の2020年度の機械工業生産は、新型コロナウイルス感染症により、需要・供給両面で大きな影響が出ており、リーマンショック以来の厳しい状況になると見込まれる。上期は特に自動車を中心に輸送機械の生産が大きく減少し、全体の生産額は前年度15.3%になると見込まれる。一方、下期は自動車の回復と5Gをはじめとした情報通信機械、電子部品・デバイスの生産増加が期待され、前年度比5.5%減まで回復するものと見込まれる。従って、2020年度全体としての機械工業生産額は、前年度比10.4%減の65兆3704億円となる見通しである。この生産額は、リーマンショック翌年(2009年)の生産額(約61兆円)を上回るものの、2013年度以来の70兆円割れの生産額で、東日本大震災翌年(2012年)の生産額(約65兆円)とほぼ同等である。なお、先行き不透明感が強い品目もあり、新型コロナウイルスの影響が生産額見通しに反映されていない品目もある。

200805日機連

 

2020年度(令和2年度)の生産動向

 

〈一般機械〉

 一般機械の生産額は、前年度比(以下同様)6.3%減の14兆1833億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。「ボイラー・原動機」は、ボイラー・タービンが国内はバイオマス発電、輸出は天然ガス向けの回復に期待する者の、石炭火力向けは引き続き厳しく、はん用内燃機関はガス機関が増加するものの、ガソリン機関、ディーゼル機関は減少を見込み、ボイラー・原動機全体で4.6%減。「土木建設機械」は、国内が消費税増税による減少からの回復を見込み、輸出は地域により回復を見込むものの、不確定要素が多く、2.5%減。「合成樹脂加工機械」は、期待していた自動車向けが厳しく、5G対応向けの改革の見通し等による回復の遅れがあり、15.0%減。「印刷・製本・紙工機械」は、国内向けの物流に関連する機械は期待が持てるものの、国内外ともに設備投資の落ち込みや需要の先送りを見込み、12.8減。「ポンプ・風霜機・圧縮機」は、官公需に期待するものの、民需が厳しいと見込み10.0%減。「ロボット」は、省力化等による産業用ロボットへの関心の高まりは続いているものの、国内外ともに投資の先送りや自動車向けの低調が続くと見込み、8.4%減。「動力伝導装置」は、変速機が民間設備投資の伸びが期待できず減少、歯車は減少、スチールチェーンは在庫増加による生産調整が行われていることから減少を見込み、全体で14.1%減。「農業用機械器具」は、国内が消費税増税前の駆け込み減少が続き、輸出も厳しく全体で15.0%減。「金属工作機械」は、国内外ともに自動化、省力化のニーズは高い者の、大口の自動車向けをはじめ、多くの需要先で設備投資が厳しいと見込み、23.1%減。「繊維機械」は、紡績機械、準備機械、織機等の大幅な減少を見込み、全体で17.5%減。「食品加工機械」は、飲料加工、肉類加工業界向けは横ばいを見込むものの、製パン、・製菓、乳製品加工業界向け等で減少を見込み、全体で5.0%減。「包装機械・荷造機械」は、下期の回復に期待するものの、上期はさらに新需要の減少を見込み、2.7%減。「木材加工機械」は、新設住宅着工戸数の減少による先行き不安を見込み、25.1%減。「事務用機械」は、海外での現地生産が進み、国内生産は縮小傾向にあるものの、統計の品目が増えたことにより、44.5%増。「ミシン」は、工業用ミシンが国内外ともに減少、家庭用ミシンは、工業用ミシンが国内外ともに減少、家庭用ミシンは国内が減少するものの輸出は微増を見込み、全体で4.8%減。「冷凍機・同応用装置」は、冷凍機、冷凍機応用製品等の比較的高水準の生産が続いているものの、エアコンディショナの減少や輸出の減少を見込み、全体で4.1%減。「半導体製造装置およびFPD製造装置」は、高水準の生産が続いており、半導体製造装置がロジック、ファウンドリー向けでは横ばいを見込むものの、メモリ向けで増加、FPD製造装置はG10.5 世代のTV用の需要により、7.9%増加の見通しである。

 

〈電気機械〉

 電気機械の生産額は、前年度比で0.1%減の7兆6686億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。「回転電気機械・製糸電気器具・開閉制御装置」は、回転電気機械のうち交流電動機は国内設備投資向けの回復を見込み増加、サーボモータは半導体や電子部品関連向けで増加、制止電気機械器具のうち電力変換装置は、太陽光向けパワーコンディショナが輸出向けを中心に回復を見込み、サーボアンプは、半導体や電子部品向けの回復を見込み増加、変圧器は国内電力向けで減少を見込み、開閉制御装置のうち閉鎖形配電装置は引き続き首都圏再開発により増加、低圧開閉器・制御機器のうちプログラマブルコントローラが中国を中心とするアジア向けで減少が続くものの、電磁開閉器や電磁リレーは国内向けで回復を見込み、監視制御装置は国内製造業向けが減少を見込み、全体で0.3%増。「民生用電気機械」は、大容量、高機能、高付加価値製品を主体に比較的堅調なものの、高水準な生産が続いてきたことから、今年度は減少をみこみ、2.1%減。「電球」は、蛍光ランプの交換需要は続くものの、引き続き生産拠点の海外シフトや光源一体形LED照明器具の普及の影響を受け、7.6%減。「電気計測器」は、電気測定器が増加、工業用計測制御機器は横ばい、電気計器、放射線計測機器、環境計器は減少し、全体で0.9%減少の見通しである。

 

〈情報通信機械〉

 情報通信機械の生産額は、前年度比3.9%増の3兆1262億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。「民生用電子機器」は、薄型テレビ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステムのいずれも減少を見込み、全体では3.0%減。「通信機器」は、有線通信機器が通信トラフィックの増加に対応して、通信インフラネット和億関連需要は堅調を継続し、有線端末機器はセキュリティに対応した機種が増加、有線ネットワーク関連機器は5Gや4K/8Kのデータトラフィック増大を見込んだ伝送装置や搬送装置の需要増があるものの、無線インフラ装置への投資シフトにより減少、ネットワーク接続機器は更新需要やセキュリティ強化のIT投資向けの増加、有線部品は5Gの多機能携帯電話向けで増加を見込み、一方、無線通信機器は携帯電話の増加が見込まれ、通信機器全体では8.1%増。「電子計算機及び関連装置」は、記憶装置が減少、プリンタは増加、モニタは横ばい、パソコンは旧OSサポート終了に伴う買替需要増の反動減を見込んでいたもののテレワーク等のリモート化によるモバイルノート型の需要好調による増加を見込み、全体で6.6%増加の見通しである。

 

〈電子部品・デバイス〉

 電子部品・デバイスの生産額は、前年度比2.1%増の6兆7586億円となる見通しである。先行き不透明感はあるものの、データ量の急増によるデータセンタの拡張や増強へのニーズの高まり、小型・薄型・省エネルギーに貢献する高信頼性電子部品はや半導体に対するニーズの増加や、5Gやローカル5Gの進展による新たな需要喚起の期待もできることから、下期に回復を見込み、「電子デバイス」は0.7%減少するものの、「電子部品」は6.3%増加の見通しである。

 

〈輸送機械〉

 輸送機械の生産額は、前年度比18.2%減の27兆4294億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。「自動車」は、上期が国内外ともに厳しく、下期は安全装置の拡充や環境対策、買替需要等による回復に期待する者の、自動車全体では18.6%減。「自動車部品」は、自動車生産台数が上期の減少により部品も大幅に減少し、下期は回復を見込むものの、22.7%減。「産業車両」は、上期が需要減から減少するものの、下期は前年が台風の影響で低水準であった反動と、物流効率化ニーズからの根強い需要で回復が見込まれ、前得体では5.1%減。「鋼船」は、受注残の減少により、操業を緩やかに落としていくことをみこみ、5.1%減。「航空機」は、比較的高水準の生産が続いてきたものの、新型コロナウイルスの影響による航空機需要減が見込まれることから、発動機は増加するものの、機体、機体部品、装備品は減少し、全体では13.9%減少の見通しである。

 

〈精密機械〉

 精密機械の生産額は、前年度比6.0%減の1兆3620億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。計測機器は、「計量機器」がほぼ年年度並みを見込み0.6%減、高額・精密測定器は33.4%減、分析機器は5.1%減、測量機器は19.5%減、計測機器全体で5.1%減。「光学機械」は、写真機が5.5%減、望遠鏡・顕微鏡は生物顕微鏡の需要は底堅いものの、工業用顕微鏡、実体顕微鏡、教育用顕微鏡の減少が見込まれ、12.7%減、カメラの交換レンズ・付属品が13.8%減、全体では10.8%減少の見通しである。

 

〈金属製品〉

 金属製品の生産額は、前年度比7.2%減の2兆6999億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。「鉄構物・架線金物」は、横ばい。「ばね」は、30.8%減。「機械工具」は、特殊鋼・超硬工具が12.4%減、ダイヤモンド工具は大口需要先の電子部品・自動車向けが下期に回復すると期待し3.2%増、機械工具全体で9.9%減。「バルブ・コック・鉄管継手」は国内外の景気低迷による受注減があると見込み、8.3%減少の見通しである。

 

〈鋳鍛造品〉

 鋳鍛造品の生産額は、前年度比18.2%減の2兆1423億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。「粉末冶金製品」は、19.7%減。「鍛工品」は、産業機械、土木建設機械、自動車向け等のいずれも減少を見込み、25.8%減。「銑鉄鋳物」は、電気機械、輸送機械向け等のいずれも減少を見込み、22.8%減。「可鍛鋳鉄・精密鍛造品」は、2.3%減。「非鉄金属鋳物」は、3.4%減。「ダイカスト」は15.1%減少の見通しである。