ダイジェット工業 営業企画室はフットワークの軽さが魅力! 

 超硬工具メーカーのダイジェット工業(社長=生悦住 歩氏、本社:大阪市平野区)の優位性といえば、材料・工具設計から最終製品の工具までを自社一貫生産を実現していることだろう。開発や生産の全て行うことで総合的な技術力やノウハウの蓄積とともに、品質の安定性を保っている。また、同社の売れ筋商品には、平らだから『タイラードリル』、オール超硬シャンクアーバ『頑固一徹』と過酷な加工条件でも威力を発揮する『G-ボディ』、この2つを組み合わせると“頑固G-ボディ”となるなど、分かりやすくてユニークなネーミングの商品を市場投入し、商品の魅力を存分にアピールしている。販促活動やキャンペーン企画が魅力的で特長的な企業でもあるのだ。

 ご承知の通り、いくら優れた技術が詰まった商品でも売れなきゃ意味がない――という厳しいビジネスの世界で、同社の販促活動を担っているのが、有吉倉則室長が率いる営業企画室 営業企画課だ。主任の草野由佳里さん、伊佐治良文さんとともに3人で切り盛りをしている。今回、同社の営業企画室にスポットを当て取材をした。

お客様に喜んで頂きたい!

23年もの間、営業畑を歩いてきた有吉室長
23年もの間、営業畑を歩いてきた有吉室長
 関東で23年間、営業畑を歩いてきた有吉室長は、昨年4月、本社にある営業企画室に異動になった。「今でも気持ちは営業の考え方ですよ。」と笑う。「ダイジェット商品をいかにご愛顧していただけるかがメインとなりましたが、営業はお客様があっての仕事です。今はお客様と直接対面することはないのですが、弊社の営業マンを通してお客様にご提案をする、という意味では営業マンのつもりです。」と、ユーザー目線の販促活動を心がけている。

 商品を売るためのカタログ作成や、展示会のブース展開、ホームページやリリース等、商品を売るための仕事は山ほどある。最近はSNSの普及により、デジタル面の仕事も増加したようだ。これらの仕事を3人で分担し、メイン業務の担当者を決める。

 同社の従業員数は527名。この中の3人が、これらの細かな作業を一手に引き受けるとなると、結構な仕事量になると思われるが、それをこなせるのも同社の特長でもある“フットワークの軽さ”があってこそ。

赤ペンを握りしめ、細かいチェックを入れる草野主任
赤ペンを握りしめ、細かいチェックを入れる草野主任
 「人数が少ない分、身軽に動けます(笑)。メーカーはお客様がいなかったら成長はしません。お客様のご要望に対応した商品を生んでそれがヒットする――という企画の醍醐味を噛みしめながら、ダイジェット商品の向こうにあるお客様の存在を常に意識しています。」(有吉室長)

 主任の草野さんはカタログ作成を主体に仕事をこなしている。「最近はソフトの手を借りて楽にできる部分もありますが、紙面構成は考えて行うのでアナログ的な思考が必要です。やっかいな部分もあるんですよ。」と笑った。カタログには技術的な要素が盛り込まれているので、そこを理解しなければ訴求効果の高いカタログは生まれにくい。
 草野主任は、「最初は、なにを書いているのか分からない! と叱られ、細かな色遣いについても指摘されたりもしました。実際にカタログを読んで下さる方がどう感じてくれるのか、ということを意識し、営業や技術にもアドバイスを頂きながら、皆様に分かりやすく訴求できる内容のカタログ製作するよう努力しています。」と謙虚なコメント。営業部や技術部からあがってくる最新情報と掲載要請も、“情報共有化のなせる技”とのことで、社内のコミュニケーションが良好な様子。1938年創業という老舗の工具メーカーでありながら、至って風通しの良い会社であることが分かる。

デジタル担当の伊佐治さん
デジタル担当の伊佐治さん
 営業企画室の若手である伊佐治さんは、IT時代の到来ともあってデジタル担当だ。今年はJIMTOF開催年ともあって、展示会も初担当とのこと。有吉室長は、「われわれの昭和色を変えていく若手の勢いに期待しています。」と声援を送った。まだJIMTOFのブース展開については秘密とのことだったが、伊佐治さんは、「ああ、いつものダイジェットか、と言われたらシャクなので、“ええっ! これがダイジェットなの!?” と、驚かれる展示にしたいですね。」と、現在、考えを巡らせている。

商品名は社内募集で決める! これがダイジェットスタイル

報告・連絡・相談は徹底している
報告・連絡・相談は徹底している
 重要なポイントにおいて部下に新たな挑戦をさせる有吉室長。「弊社は今年80周年を迎えますが、古くて伝統のある会社の良いところは残して、変わらなければならないところは変えていくという生悦住社長の考えもあり、営業企画室も単に販促だけやっていれば良いのではなく、斬新なアイデアを出して企画を立て、新しいことにチャレンジしていかなければと感じています。」と話す。

 「若手には、新しいことに物怖じせず、いろんなことに挑戦してもらいたい。」という有吉室長と、新しいアイデアを提案し、責任を持って実行する草野主任と伊佐治さん。有吉室長は、「この2人は、やります! と言ったら最後までやり通す芯の強さがあるので安心をしています。」と、パワー溢れる部下に若干プレッシャーをかけつつも、信頼を寄せている様子だ。

 さて、同社の特長でもある商品のネーミングに注目したい。高い技術力を用いて新しい製品をつくり出す切削工具の役割は大きい。独創性の高く技術力に定評があるダイジェット商品の数々には、親しみやすい商品名が付けられていることが多く、このネーミングはどこから生まれてくるのか―――。

 有吉室長から出た言葉は意外にも「社内で募集しています。」とのことだった。ネーミングを募集して、投票で決めるのがダイジェットスタイルなのだ。

人気の「TAタイラーモジュラーヘッド」
人気の「TAタイラーモジュラーヘッド」
 「“タイラードリル”は、もともとフラットな形状から“平らドリル”だったんですよ。最初は“ひらドリル”と読むものも候補にあったのですが、平ら、タイラー、あ、タイラーでいいやん! となって海外でも売れるようにタイラードリルになりました。それから売れ筋商品の“頑固一徹”も、本社近くの居酒屋の店内にあった掛け軸に頑固一徹と書いてあるのをたまたま見て、“あ、これいいやん!”みたいなノリで思い付いたと聞いています。そこからGボディと広がりをみせました。」と、社内全体が柔軟かつ自由な発想をもって商品に取り組んでいる様子を教えてくれた。

 ちなみに同社で現在、人気商品といえば『TAタイラーモジュラーヘッドTLZD形』。金型の穴加工や座ぐり加工において、複数の段取り工程を短縮化できる、先端角180°フラットの刃先交換式ドリルだ。切れ刃形状の最適化により切削抵抗を大幅に抑え、コンパクトな切りくず排出が嬉しい。超硬シャンクアーバ『頑固一徹』との組み合わせにより、工具の突出し長さが必要な穴加工や座ぐり加工において高能率加工が実現。被削材は、炭素鋼、鋳鉄、工具鋼、ステンレス鋼、プリハードン鋼など幅広く対応できる頼もしい工具だ。傾斜面への穴加工・座ぐり加工・交差穴加工等の使用用途でも下穴なしで加工ができることで、多くの加工現場から、「加工時間の短縮、段取り工程の削減や加工穴精度の向上を実現する。」と大好評! ユーザーの期待に応えて今年のJIMTOFでも展示予定だ。

心は常にdo my best!

常にユーザー目線の販促活動を心がけている
常にユーザー目線の販促活動を心がけている
 草野主任に、最近のトレンドでもある女性活用の流れを意識しているかどうか尋ねてみたところ、「入社したときから入った以上は仕事を長く続けたいという気持ちを持っていました。例えば結婚やなにかのタイミングで退職するという考えもありません。時には感情の高ぶりもありますが、長く働いていたいからこそ、与えられているフィールドに対しては、マイペースでありながら、ちょうど良い線を狙いつつ、プラスアフルァで少しずつ伸びていくように頑張っています。」とデリケートな質問にもかかわらず応えてくれた。

 若手の伊佐治さんも、JIMTOFに向けてブースのプロデュースに大忙しだ。営業企画室をまとめる有吉室長は、「心は常にdo my bestです。営業企画室は、失敗を恐れず、やるだけやってみよう! という心意気で業務をこなしています。」と元気よく述べ、最後に、「良いものをつくっても世の中に浸透しなければ結局自己満足で終わってしまいます。新規のお客様にダイジェットファンになってもらうべく様々なアイデアを駆使し、新しいものも取り入れていきたい。ぜひ、今回のJIMTOFを楽しみにしてください!」と展示会への意気込みをみせた。

 

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