「お客様の課題に向き合い加工イノベーションを実現していく」 ~ MOLDINO 鶴巻社長に聞く~

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 昨年、三菱マテリアルの完全子会社となったMOLDINO。1928年の創業以来、エポックシリーズ、アルファシリーズ、ガレアシリーズなど加工現場にインパクトと新たな価値を与える切削工具を加工現場に提供し、様々な加工ニーズに応えている。本年4月、新社長に鶴巻二三男氏が就任した。

 「お客様の課題に真摯に向き合う真のパートナーとして、私たちは未知の領域にも挑戦を続け、加工イノベーションを実現していく決意です。」と話す鶴巻社長。グローバルに成長させるべく新しい風を吹き込んでいる。


鶴巻社長1 ―鶴巻社長は三菱マテリアル出身で長い間、工具業界に携わってこられました。以前は同社の常務・加工事業カンパニープレジデントを経験されております。今回、MOLDINOの社長に就任され、新たに試みていることがあればお聞かせください。
 鶴巻
 日立ツールから三菱日立ツールになり、MOLDINOと社名は変わりましたが、日立ツール時代から社名の前に〝開発技術の~〟が付きました。長い歴史に裏付けられた開発技術力は踏襲し、この優位性をさらに伸ばしていきたいと考えています。また、どの業界でも当てはまることですが、景気には浮き沈みがあります。沈んだときにステップアップするためには、技術的な仕掛けというよりは社内のモチベーションを上げ、皆で力を合わせて目標に向かうための仕掛け作りを今まで心がけてきました。ところがMOLDINOの工場内では、こうした取り組みを既に実行していたのです。しかもどんどん進化しているのを知り、これは素晴らしいことだと感じました。目標が社名となっていますので「MOLD&DIE+INNOVATION」、MOLDINOの名の通り弊社製品は金型加工に強く、私たちのお伺いするお客様の現場に強いことを示しています。
 ―お客様との密着度が強いのも貴社の魅力です。
 鶴巻
 現在、お客様との繋がりや、暖かさを改めて感じています。これはMOLDINOの社員も十分感じていることなので、私はこの強みを失わないよう邁進するとともに、お客様の加工における課題に真摯に向き合い、共に成長できるよう注力していきたいと思っています。

金型業界に貢献できれば加工を制すことができる

鶴巻社長2 ―金型業界に貢献するMOLDINO ブランドもかなり浸透してきました。微細金型の需要も高まりが見えます。
 鶴巻
 現在、世界規模でEV化の動きが加速し、日本でも2030年代半ばにガソリン車において新車販売禁止の目標が掲げられています。今後は、5G、AI、IoTなどのデジタル基盤技術開発が強化され、これらの技術を活用した自動走行など車載用の電子部品の需要増が見込まれるほか、医療分野でも精密・微細金型は今後増加する見込みです。また、金型は耐久性が求められることから、材料も削りにくいものが多くあるうえ、高い面品位が求められます。加工は効率と比例して経済効果も高まりますから、削りにくいものでも工具の寿命が長く、いかに加工工程を短縮できるか、がコスト削減の重要な鍵となります。弊社では、高精度加工を荒加工から磨きや調整まで含めてトータル工程の最適化を狙う『Hi-Pre²(ハイプレツー)』を提唱していますが、この『Hi-Pre²』とは、High Precision(精度)Pre-finishing(仕上げ加工の前)の略であり、仕上げ工程前から高精度を狙うことで工程や加工時間の短縮を実現するものとして、加工現場の利益確保に貢献できるよう開発技術に邁進しています。

エポックDスレッドミル
エポック スレッドミルシリーズ ET/EDT

 ―本年4月に東京ビッグサイトでINTERMOLDがリアルで開催されました。貴社も金型設計・製造など一連の工程における最新のソリューションの提案や最新情報を発信しておりましたが、手応えはいかがでしたか。
 鶴巻
 予想以上に良い結果となりました。
 ―エピソードがあれば教えてください。
 鶴巻
 これは一例ですが、展示会の期間中、富山県のお客様が弊社ブースに足を運んでくれました。昨年、魚津工場が再稼働したことに伴い、営業担当者が魚津に駐在するようになりました。来場されたお客様は金型も部品加工も行っており、加工技術には高い評価があります。魚津に駐在している営業担当者もわざわざ足を運んでくれたことを非常に喜んでおりました。今回、お困りの案件は部品加工でしたが、ちょうど展示されていた製品『エポック Dスレッドミル』に興味をお示しになられ、気に入られたようです。精密・微細金型を含め多くの金型は加工が難しいうえ、高い品質が求められます。これらの加工が弊社の切削工具で効率良くできれば、ほとんどの金属加工に対応できるはずですから、MOLDINO工具の底力を広く知っていただく良いチャンスとなりました。

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