オークマがAI(人工知能)を活用したドリル加工の診断技術 「OSP-AI 加工診断」を世界に先駆けて開発

 オークマ(社長=花木義麿氏)と日本電気(社長兼CEO=新野 隆氏、以下NEC)はこのほど、AI( ディープラーニング) を活用し工作機械が自律的にドリル加工の診断を行う技術「OSP-AI 加工診断」を共同開発致したと発表した。「OSP-AI 加工診断」は、OSPに内蔵したAI 技術により、ドリル加工の異常検知と工具摩耗の可視化をリアルタイムに行い、ドリル工具と工作物の損傷防止や工具費の大幅削減を実現する。

 オークマは、「OSP-AI 加工診断」をはじめ工作機械の知能化を積極的に推し進め、世界の新しいものづくりを切り拓くとしており、NEC は、本技術により工作機械による加工の自律的な診断を支援するとともに、今後もNECの最先端AI 技術群「NEC the WISE」を用いて、オークマの工作機械の高度化に貢献していくとしている。

 今回の背景について、オークマでは、「労働人口の減少から、生産システムの自動化、無人化が進んでいる。生産システムに、さらなる安定稼働やコスト低減の要望が高まる中、オークマは2000 年以降、加工寸法精度の安定化、加工条件を最適化して高能率化を実現する知能化技術を開発し、工作機械に適用したが、依然として工作物の不良につながる工具破損の課題を解決するのは難しく、主である工具摩耗が原因で生じる不具合対策には、現場での経験に基づき、安全を見越して工具交換を行っているため、実際にはまだ使用できる工具が交換されていることがあった。それでも工作物の素材や工具のばらつきなどで生じる突発的な工具破損を防止するまでには至っていないのが現状だ。この技術の狙いは、工作機械が自律的にドリル加工の状態診断をリアルタイムに実施し、工作物の不具合回避や工具費の削減を実現すること。」としている。

■開発の狙い
① 不具合工作物の削減
 ドリルが突然破損すると、折れたドリルを工作物から取り外すことができなくなることがある。この場合、工作物の損失となって生産コストの増加につながる。本技術のドリル加工の異常検知で、突然のドリルの破損を防止し、生産コストの低減を実現する。

② 工具費の削減
 ドリルの交換は、実際の寿命に対し安全を見越して行うため、寿命の6~7 割で交換している実情がある。本技術によりドリルの摩耗状態を可視化することで、個々の寿命に近い工具の状態に応じて交換することができ、工具費用の削減を実現できる。

③ AI による容易な診断
 「OSP-AI 加工診断」では、様々な加工条件を学習させたAI とすることで、煩わしい準備・手順を不要とした。従来、加工状態を診断する機能は、予め作業者が正常時の加工を行い、異常と判断するしきい値を設定する準備が必要だった。

特長と実現技術

181118オークマ1 オークマは、CNC 装置を内製化する強みを活かし、工作機械の制御情報からリアルタイムに加工状態を得ることを可能にした。OSP 上で実現するAI について、NEC の最先端AI 技術群「NEC the WISE」の1 つである「RAPID 機械学習技術」を用いて共同で開発した。特長は以下の通り。

① ドリル加工の突発異常の検出
 突発的に発生するドリル加工の異常を検出し、ドリル破損の前に加工を停止する。さらに、工作物からドリルを離す退避動作を併せて行い、工作物と工具のダメージを最小限にする(図1)。

 瞬間的な現象であるドリルの加工異常を制御装置の内部情報から瞬時に検知するために、高速な内部情報のデジタル処理技術の開発と、高速に高精度な診断を可能とするAI 技術を開発した。

② ドリル加工の摩耗状態の可視化(世界初)
 OSP-AI において、加工状態を分析することで、ドリル摩耗状態の可視化を実現した。この可視化グラフをもとにドリルの交換タイミングを最適化し、工具費用の大幅削減を図ることができる。1.4 倍の工具寿命の延長が可能となる場合もある(図2)。

③ 汎用化したAI により、様々なドリル加工条件への対応
 自社工場をはじめとして、これまでに培った加工ノウハウと、様々な加工条件で取得したデータを適切に組み合わせた学習結果をOSP-AI に搭載。従来機能で必要であった主軸速度毎、送り軸速度毎の個別設定が不要で、簡単にAI を活用できる。
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